発達障害の人が「職場定着」するために企業ができること。「合理的配慮」とは何か
発達障害の人への就労支援が年々、広がりをみせています。 発達障害の人の場合、知識や技術をいかして就職することはできても、人間関係などに悩んで職場になじめず、結果として、退職してしまうことがあります。そのような問題を防ぐために、職場定着までをみすえて支援するケースが増えています。 【前編】発達障害の人が「職場に定着する」ためのステップとは 就労支援にはさまざまな形式がありますが、基本的な内容や流れは共通しています。『発達障害の人の「就労支援」がわかる本』では、就職活動から職場への定着、生活面まで就労支援のしくみと活用の仕方をイラスト図解。就労支援を利用する当事者はもちろん、その当事者を受け入れる企業側にも好評なロングセラー書から、一部を連載形式でご紹介します。 今回は、前編に引き続き、支援の第2段階、「職場定着」について解説。
業務内容や勤務時間の調整について話し合う
基本的な配慮事項に続いて、具体的な業務についても、相談しましょう。職場のさまざまな仕事のなかから、本人にマッチする仕事を設定することが重要です。発達障害の人には得手不得手があります。総合的になんでも担当するとなると、難しいことも出てきますが、その人に合った業務であれば、本来の力を発揮できます。職場側にも本人のパフォーマンスを最大限に引き出せたり、苦手な作業を担当させることによって起こるトラブルを、未然に防げるなどの効果があります。 (1)三者で話し合う 本人・企業・支援者で、業務の具体的な割り当てについて相談する。自己紹介の書面なども使いながら、検討していく (2)仕事を調整する 検討の結果にそって、配属先や業務の内容、業務量、勤務時間などを調整。総合的な業務ではなく、特性に適した一定の業務を設定する (3)本人が力を発揮できる 相談をふまえて業務を割り当てるため、基本的には本人が力を発揮しやすい仕事になる。本人は企業に貢献でき、企業もたすかる ・「 勤勉性」「発想力」などの長所が出る ・本人の能力や努力が上司や同僚に伝わる (4)担当業務が明確になる 本人が担当する業務(確実にできること)が明確に。本人は仕事に集中でき、同僚は本人に仕事を頼みやすくなる ・「 データ入力」などの担当業務が明確になる ・「 接客対応」など、担当しない業務も明確に (5)無理なく長く働ける 業務量や勤務時間を適度に調整することで、本人が無理をせずに、長く働けるようになる。企業にとっても見通しが立つ ・「 時短勤務」などで無理なくスタート ・オーバーワークを予防できる