BLINKライターが『BLACKPINK WORLD TOUR [BORN PINK] IN CINEMAS』を熱烈レビュー!ライブで改めて感じた4人の魅力と7年間の軌跡
2016年にK-POPシーンに現れ、今や全世界を席巻するガールズグループとして名を馳せているBLACKPINK。そんな彼女たちのデビュー8周年を記念し、2022年から2023年にかけて開催されたワールドツアーを記録したコンサート映画『BLACKPINK WORLD TOUR [BORN PINK] IN CINEMAS』が8月8日(木)に公開される。全世界180万人の観客を熱狂させた圧巻のパフォーマンスと華麗な演出が、大迫力のスクリーンで蘇るのだ。しかも通常の2D上映に加えてScreenX、4DX、ULTRA 4DXといった臨場感をより高めてくれるラージフォーマットでも上映される。さらに、「声出しOK!応援上映会」の開催と、フィルム風しおり(全4種ランダム)を含む3週連続での入場者特典配布も決定し、BLINK(BLACKPINKのファンネーム)にとっては興奮必至だろう。 【写真を見る】現在ソロ活動中のBLACKPINKは2025年にメンバーが再集結し、ワールドツアーを開催することを発表した 今回は、いち早く本作を鑑賞する機会に恵まれたBLINKライターの筆者が徹底レビュー!また、ライブと共に第一線で活躍する人気K-POPアイドルから、個々がワールドワイドに活躍するスーパースターとなるまで成長を遂げた4人の7年間の軌跡を振り返っていく。 ■「Pink Venom」で開幕!妖艶でパワフルな世界観に惹き込まれる オープニングを飾るのは「Pink Venom」。ピンクのライトとレーザー光線が妖しく会場を照らすなか、大勢のダンサー陣が迫力の群舞を披露。バックで奏でられているギターサウンドが次第に大きくなっていき、会場は熱い歓声に包まれる。そして、イントロのギター演奏が次第に大きくなっていき、ステージから豪快に火花が吹き上がると、BLACKPINKが華麗に登場。ステージに現れた4人は白を基調とした衣装を纏い、まるで女神のよう。この曲は、イントロに韓国の伝統楽器であるコムンゴのサウンドが使われているのだが、ライブではギター演奏でそのオリエンタルな音色を再現すると共に、より力強いものへと昇華しているのが見事だ。 次に披露された「How You Like That」は彼女たちの真骨頂ともいえるようなヒップホップベースのダンス曲。ずっしりとした重低音が、太いギター音で奏でられ、体中を波打つような力強いビートが心地よい。スクリーン越しに見ていた筆者でさえ、思わず踊り出したくなる衝動に駆られたのだから、現場で見ていたBLINKたちは思わず体が動いていたに違いない。その後に続く「Pretty Savage」のダンスブレイクでは、4人がセンターステージに移動し、なんともセクシーな椅子ダンスを披露。また、本作では世界中のあらゆる国で行われた公演の映像に切り替わるシネマアレンジが施されているのだが、各国ごとで異なる豪華な衣装も見どころだ。 そろそろ彼女たちのパフォーマンス面の魅力についても触れていこう。K-POPを語る際、一糸乱れぬ群舞や突き抜けるような高音など、ハイレベルなパフォーマンスが注目されがちだが、BLACKPINKの魅力はそういったスキルに加え、4人それぞれが独自のグルーヴを持ち、"生きた"パフォーマンスをするところにあると筆者は考える。 LISA(リサ)のダイナミックで野生味あふれるダンス、JENNIE(ジェニー)が持つ魅惑的なムードと洗練されたラップ、ROSÉ(ロゼ)の伸びやかな歌声と豊かな表現力、それらを基盤で支えるJISOO(ジス)のハスキーで安定した歌声と優雅さ。1人1人が全く異なるカラーを放ち、観る人の記憶にしっかりと刻まれる個性を持っている。また、被せガン無視のドスが効いたラップをお見舞いしたり、オーディエンスを巻き込んで盛り上げたりと、"ライブ(Live)"という"生きた"パフォーマンスをすることにも長けている。 続いて披露された「Kick it」「WHISTLE」には、そんな彼女たちの魅力がぎっしりと詰まっていた。会場中を見渡しながら客席の1人1人とアイコンタクトをとり、時には挑発的に誘い、時には優しく包み込むような眼差しを向ける。そんな観客と一緒にライブを楽しもうとする姿に、改めて心を掴まれた。 ■「BLACKPINKは個々が"DIVA"」であることをわからせてくれるソロステージ 熱気も高まったところで、ソロステージへ。ここからは、感想を綴ると共にBLACKPINKのメンバーについて改めて紹介していきたい。 トップバッターのジェニーは、黒のヘッドドレスに顔を覆われたミステリアスなビジュアルで登場し、「SOLO」を披露。喪服を彷彿とさせるコスチュームと、「過去の恋に別れを告げ、1人で輝いて生きていく」というメッセージを持つ楽曲の世界観が見事にマッチしていた。続いては、恋焦がれる相手との美しい瞬間を過ごす気持ちを表現した「YOU&ME」。チャーミングな笑顔と、ダンサーとの色気たっぷりなペアダンスにすっかり魅了されてしまった。 思えば、メンバーの中で最初にソロデビューしたのもジェニーだが、2010年にYGエンターテイメントに入社した一番練習生期間が長いメンバーで、デビュー前からファンの間では有名な練習生だった。ネイティブ並の流暢な英語を駆使したラップやグルーヴが効いた存在感のある歌声が持ち味で、歌、ダンス、ラップどれをとっても申し分なく、まさにエースといっていい存在だ。 会場が再び暗転し、ステージには膝を抱えて座り込むロゼの姿が。披露するのは、感傷的なバラード曲「Gone」。幻想的なギターの音色が響くなか、「All my love is gone(私の愛はすべてなくなってしまったの)」と繰り返される歌声が切なくも美しく、聴き入ってしまう。そして、儚い雰囲気から一変し「On The Ground」のステージへ。か弱く膝を抱えていたロゼが今度はダンサーに担ぎ上げられ、高らかに「Everything I need is on the ground (私が欲しいものは私の中にある)」と歌い上げる。その一連の流れから、「別れの悲しみを経験したことで、本当に求めていたものに気づき、より広い世界へと飛び立っていく」という壮大なストーリーすら見える。 ロゼといえば、高い歌唱力でBLACKPINKの楽曲を彩るメンバー。オーストラリア出身で、グループの中で1番練習生期間が短いものの、歌も楽器もこなすオールラウンダーとして知られる。彼女の繊細さと力強さを兼ね備えたユニークな歌声は、BLACKPINKの象徴でもあるのだ。 次に現れたジスは、初のソロシングル「ME」に収録されている「All Eyes On Me」「Flower」を披露。「ME」というタイトルには、ソロアーティストとして生まれ変わった自分(ME)や本来の美しさ(美)という意味が込められているそうだが、ソロステージでの彼女は、"BLACKPINKのジス"とは違った魅力を放ち、自信に満ち溢れていた。また、煌びやかな花やストーンがあしらわれたチュールドレスをまといながら自由自在に舞う姿は華麗で美しく、「ME」に込められたメッセージをまさしく体現していた。 BLACKPINKの最年長であり、ビジュアル担当ともいわれているジス。ドラマ「スノードロップ」(21)で主役を果たすなど、女優としてのポテンシャルも併せ持つ。美貌に注目が集まりがちだが、個人的に彼女のハスキーで暖かみのある歌声はBLACKPINKの楽曲の基盤となり、メンバーの声を繋ぐ潤滑油の役割を果たしていると感じる。また、外見とギャップがあるユーモアたっぷりなキャラクターや常に朗らかでグループのムードメーカーとなっているところも魅力の一つだ。 ソロステージのラストを飾るのはリサ。ネオンのスクリーンに彼女の影が映し出され、その人間離れした抜群のプロポーションに思わず息を飲んでしまった。リサのパーフェクトボディに見惚れていると、突如力強いドラム音が轟き、本人がステージに登場。歌うのは、YouTube再生数が10億回を突破した「MONEY」。途中、大勢のバックダンサーたちを従えたダイナミックなパフォーマンスに「かっこよすぎる」と心の声が漏れてしまいそうに…。紙幣の吹雪が舞うなかで踊り狂い、時々こちらを挑発する目つきをする姿は、まさに舞台の覇者と呼ぶに相応しい。 BLACKPINKで最年少のリサは、2010年に母国タイで開催されたYGエンターテイメントのグローバルオーディションに唯一の合格者として練習生に選ばれた逸材だ。彼女の卓越したダンススキルは、当時から群を抜いていたようで、ジェニーは初めてリサと対面した時に、1回見ただけで振り付けを覚えてしまう彼女の才能に驚いたと語っている。そして、今年6月には個人レーベルに移籍後初となるソロ曲「ROCKSTAR」をリリースし、さらにブラッシュアップされたパフォーマンスで話題に。今後も、彼女の快進撃は止まらないだろう。 ■怒涛の後半戦、会場のボルテージもMAXに ソロステージで各メンバーの魅力を存分に感じて来た頃、ライブも折り返し地点に。後半戦は、「Kill This Love」で幕開けだ。この曲は、2019年にリリースされたのだが、個人的に2019年はBLACKPINKにとって1回目の節目となる年だと考えている。なぜならば、彼女たちはこの年に初めてのワールドツアー「BLACKPINK 2019-2020 WORLD TOUR IN YOUR AREA」を開催し、「コーチェラ・フェスティバル」にも初めて出演するなど、本格的に世界進出をしたからだ。筆者は、BLACKPINKがデビューした2016年から2018年までを第1章、彼女たちがグローバルスターとしての階段を駆け上がった2019年以降を第2章だと考えている。 ただの偶然かもしれないが、グループにとって折り返し地点である2019年にリリースされた「Kill This Love」が、このライブの折り返し地点でも披露されたことで、勝手に感慨深い気持ちに。その後の「Love Sick Girls」では、BLACKPINKと会場にいるBLINKたちによる大合唱が行われ、「PLAYING WITH FIRE」では、メンバーがステージの端から端を移動しBLINKたちのより近くに行こうとする姿にほっこり。スクリーン越しながらも、会場が一体となるのを感じた。 「Typa Girl」では、ダンサーたちによる扇子踊りとキャバレーのようなゴージャスな演出に目が釘付けに。「Shut Down」では、ジェニーとリサによる流れ弾のようなラップに、耳までも虜になってしまった。また、「Don’t Know What to Do」「Tally」では、4人それぞれのボーカルが際立っていて、実力派を輩出することに定評があるYGの底力を見せつけられた。 バラードでしっとり聴かせたかと思えば、今度は「DDU-DU DDU-DU」や「FOREVER YOUNG」で、再びボルテージMAXに。特に「FOREVER YOUNG」は、最後の「Whatta bum bum whatta bum bum」の部分で、メンバーもダンサーも髪を振り乱しながら踊り狂い、会場全体がダンスホールと化すほどの盛り上がりを見せた。そして、ここでライブは一旦幕を降ろす。 ■4人の絆は変わらない!BLACKPINK第3章へ ここからが本当のクライマックス。アンコールステージの幕開けは「STAY」。トロッコで移動しながら、「BOOMBAYAH」「Yeah Yeah Yeah」を歌い、客席に向かってファンサをしたりプレゼントを投げたりするメンバーたち。先ほどのカリスマ性に満ちた姿とは違い、無邪気でキュートな素顔に心が暖まる。そして、ラストを飾るのは「AS IF IT’S YOUR LAST」。メンバーたちが肩を組みながら飛び跳ねたり、思い思いにフリースタイルのダンスを披露する姿を見て、楽しい場面なはずなのに、「この時間が永遠に続けばいいな」と目頭が熱くなる瞬間もあった。 2024年から、個人レーベルを立ち上げ、ソロ活動に注力しているBLACKPINK。正直言うと、筆者は本作を鑑賞し終えた時点では、「彼女たちがグループ活動に区切りを付けたっきりとなってしまうのでは?」、「このまま、完全体のBLACKPINKを何年も見ることができなくなってしまうのではないか?」という不安が多少はあった。しかし、その数日後になんと、2025年にメンバーが集結してワールドツアーを開催するといううれしいニュースが発表され、不安は見事払拭された。 先ほど、2016年から2018年までをBLACKPINKの第1章、2019年以降を第2章だと述べたが、では第3章はいつなのか?今の筆者なら、それは彼女たちが個々で夢を実現したり自分自身を高めた後に、再びBLACKPINKとして舞い戻ってくる2025年だと言える。今までよりもさらにパワーアップした4人が見せてくれるBLACKPINK第3章が楽しみである。 文/AMO