「特定扶養」子の年収制限150万円で調整 与党、国民民主案のむ 税制大綱への詰め急ぐ
政府・与党は12日、大学生年代(19~22歳)の子を扶養する親の税負担を軽減する特定扶養控除について、子の年収制限を現行の103万円から150万円に引き上げる方向で最終調整に入った。国民民主党の要求を受け入れる。自民、公明両党は国民民主を含む3党幹事長による11日の合意を踏まえ、令和7年度税制改正に向けた詰めの作業を急ぐ。 ■残された課題 子の年収制限の引き上げは、アルバイトで働く大学生の働き控えの解消を目的に国民民主が主張していた。与党は11日に130万円への引き上げと8年分の所得からの適用を提案したが折り合えず、国民民主案をのむ方向で調整を始めた。 与党は11日の3党幹事長会談で国民民主から6年度補正予算案への賛成を取り付け、12日に衆院を通過させた。ただ、27日ごろを目指す7年度当初予算案決定を前に、国民民主との合意内容を詰め、7年度税制改正をまとめる必要がある。与党は20日ごろに税制改正大綱を決める方向だ。 そのためには特定扶養控除以外にも複数の課題が残っている。その筆頭が年収103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」の引き上げだ。 ■具体策などは未定 3党幹事長は非課税枠の178万円への拡大を目指し、来年から引き上げることに合意したが、具体的な引き上げ額や方法は決まっていない。国民民主の理解が得られなければ、7年度当初予算案の成立が難しくなりかねない。一方、引き上げを住民税にも適用する場合、地方税収が約4兆円減るとの試算もあり、穴埋め策が必要になる。 ガソリン税に上乗せしている暫定税率の廃止も同様だ。廃止により、ガソリン価格が3カ月連続で160円を超えた際に暫定税率を免除する「トリガー条項」も有名無実化するが、幹事長間の合意に廃止時期は明記されていない。 一方、防衛力強化に向けた増税を巡り、自公の税制調査会幹部は12日の協議で、対象となる3税のうち法人、たばこについて8年度から引き上げる政府案を了承することで一致した。7年度与党税制改正大綱に盛り込む。所得税の扱いに関しては、さらに税調会長間で決着させる。国民民主とも今後、協議する方向で、3党の税制調査会幹部は13日、再び協議する。(根本和哉)