プロ野球の大御所は政府の対策方針の遅れと揺れに疑念…新型コロナ波紋でプロスポーツ界が直面する危機とは?
だが、プロ野球の場合、経営母体が揺れるほどのショックではない。問題は経営規模が小さい組織、或いは経営基盤の団体、クラブなどだ。プロバスケットのBリーグが発表した2018年度のリーグとしての年間総収入は約221億円で、観客動員は約259万人。年間収入は前年比13.2%アップではあるが、リーグ全体でプロ野球の人気球団ひとつの規模しかない。 BリーグのB1は、18チームがそれぞれ年間60試合を戦い、クラブの年間の平均営業収入は約9億円で、そのうち入場料収入の平均は約2億円となっている。今回は、54試合の延期決定(Bリーグ全体では99試合)で、各クラブは4試合ほどのホームの試合が延期となるため、入場収入、グッズ販売などへの影響は少なくない。千葉ジェッツなど、年間営業収入が12億円をこえる球団は5つあるが、赤字を出したクラブが、B1で6つあり、純資産が500万円以下の財務が脆弱なクラブもB1、B2で6つあり、試合延期でキャッシュフローが滞るのも痛手だ。 Bリーグは3月14日に再開予定でいるが、そこで新型コロナウイルスの収束に見通しが立たず、さらに延期が延長されるようではクラブによっては経営の存続に深刻な問題が出てくる危険性もある。 5月からはチャンピオンシップやプレーオフなどのポストシーズンが予定されているが、この日程を後ろにずらすことは難しく、延期された試合を埋めていくと、ポストシーズンを短縮化せざるを得ないという可能性を大河チェアマンは示唆している。 またプロボクシングの世界も深刻だ。3月は全国各地で16の興行が予定されており、女子のWBO世界アトム級タイトルマッチを含む10試合のタイトルマッチが行われる予定だった。ボクサー1本で生計を立てることができているボクサーは、ごく一部に限られているが、予定していたファイトマネーが入らなくなるのは死活問題だろう。 またボクシング人口の減少で、各ジムの会員数も減少傾向にあり、一部のジムを除くと、どのジムも経営は厳しく、後楽園ホールでプロ興行を行うことで生まれる100万から300万円規模の利益は、重要な収入源。興行中止はジム経営にも深刻な影響を与えることにもなる。 安倍首相は「今後2週間」と期限を区切ったが、そこで収束の方向性が見えなければ、この国のプロスポーツ界は、大きな危機に直面することになるのかもしれない。