円は対ドルで152円台後半、米利下げ期待後退-日米株価動向に注目
(ブルームバーグ): 11日朝の東京外国為替市場の円相場は1ドル=152円台後半と、前週末からやや下落して推移。米国株式相場の上昇や米経済指標が景気の底堅さを示唆し、今後の米利下げ予想が後退したことが背景にある。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、米国株先物が時間外で上昇しており、ややドルが買われていると指摘。「トランプトレードは勢いはなくなったものの、ドルを売る環境にない。今週後半の米消費者物価指数(CPI)や小売売上高次第では12月の利下げがスキップされる可能性を見極める状況」と述べた。
8日の米国株市場でS&P500種株価指数は連日の最高値で終え、週間ベースでは今年最大の上昇率を記録した。次期大統領となるトランプ氏の景気拡大策が米企業収益を押し上げるとの見方が背景。米ミシガン大学が発表した11月の米消費者態度指数速報値が73.0と市場予想(71.0)を上回り、7カ月ぶりの水準に上昇。
ブルームバーグ・ドル指数は一時0.8%上昇した。週間ベースでは6週連続の上昇と、6月以来の長期連続高。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は9日、好調な経済と生産性上昇により、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げ幅を従来予想より縮小する可能性があると述べた。
衆院選を受けた特別国会が11日召集され、衆参両院は本会議で石破茂首相(自民党総裁)を第103代首相に選ぶ見通しだ。SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「石破氏が首相に選出されるとみているが、順風満帆とは行かず日経平均株価が下落する可能性があり、ドルは買いにくい」と述べた。
東京市場では10月30、31日開催の日銀金融政策決定会合における主な意見が公表される。植田和男総裁は同会合後の記者会見で「時間的余裕」との文言を使用せず、年内追加利上げの可能性に含みを持たせた。タカ派的な意見が多く出る可能性があり、円の支えとなりそうだ。
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Hidenori Yamanaka