ギリシャ戦を優位に戦うための3つのポイント
初戦を落とした者同士の対戦。日本にとっても、ギリシャにとっても、生き残りをかけた一戦になる。堅守速攻が武器のかつての欧州王者を攻略するには、どうすればいいのか。第2戦で勝利を飾るための3つのポイントを探った。 ■ポイント(1) 日本の左サイド、ギリシャの右サイドの攻防 左サイドハーフの香川、左サイドバックの長友、左ボランチの遠藤の3人が繰り出す左サイドからの攻撃は、日本のストロングポイントだ。これまでも、このサイドから数多くのチャンスを築き、岡崎や本田のゴールシーンを演出してきた。 とはいえ、長所と短所は表裏一体でもある。日本が主導権を握って相手を押し込んでいれば、香川と長友によるアタックは、相手に脅威を与えられるが、世界の列強とやりあえば、押し込まれる時間が長くなり、香川にかかる守備の負担が大きくなる。かつて日本代表監督を務めたオシムは、時代の寵児だったロナウジーニョを引き合いに出して、こう語った。 「(左ウイングの)ロナウジーニョを抑えたいのなら、対峙する右サイドバックは守るのではなく、積極的に攻め上がればいい。ロナウジーニョが守備に戻って来なければ、攻撃側は数的優位を作れる。戻ってきても、目指すべきゴールから80メートルも離れた地点にいるロナウジーニョは怖くない。それは、もはやロナウジーニョではない」。 日本に置き換えれば、ロナウジーニョ=香川ということになる。相手の右サイドバックが攻め上がるたびに香川が戻れば体力を消耗し、香川が戻らなければ、長友が相手の右サイドバックと右サイドハーフの2人を相手にするため、数的不利になる。コートジボワール戦の敗因のひとつが、まさにこれ。香川が“消され”、強みだったはずの左サイドは、弱点に転じた。 ■清武「裏を突ける。練習で確認している」 ギリシャの特長のひとつも右サイドにある。右ウイングのサルピンギディスだけなら、長友が封じることが出来る。だが、右サイドバックのトロシディスも、コートジボワールの右サイドバックのオーリエと同様、積極的にオーバーラップしてくる。日本が主導権を握っていれば、香川の攻撃力を持ってしてトロシディスを押し込み、攻撃参加を牽制できる。それについて、清武が説明する。「相手の15番(トロシディス)は積極的に攻め上がってくるから、その裏は突けるはず。練習でその確認はしている」。 ■長友「コートジボワールが学ばせてくれた」 もちろん、90分間ずっと押し込めるものではない。だが、コートジボワール戦の反省を踏まえ、長友はその対策に自信を見せる。「コートジボワールが学ばせてくれた部分もあって、マンツーマンとは言わないまでも、ひとつに付くのも大事。次もサイドで数的不利を作られたら、(香川)真司を戻したり、長谷部さんが降りてきて僕がズレたり、そういうことはできると思う」。 ギリシャ戦では日本の左サイド、ギリシャの右サイドの主導権争いが勝敗の分かれ目のひとつになる。日本の左サイドは輝きを取り戻せるか。もちろん、左サイドが輝くためには、チームとして主導権を握り、ギリシャを押し込むことが重要だ。