ギリシャ戦を優位に戦うための3つのポイント
■ポイント(3) 堅守をこじ開けるための一手 0-0でゲームが進んだとき、焦れた日本がまんまとギリシャのカウンターやセットプレーで決勝点を奪われるのが想定し得る最悪のケース。山口や吉田、森重(あるいは今野)には細心のリスクマネジメントが求められるが、その一方で、指揮官にはじわじわと相手を追い込むような采配を期待したい。 守備力を高めたうえで、サイド攻撃の威力を高めるなら、今野や酒井高、伊野波を左サイドバックに投入し、長友を1列前で起用するパターン。それが決して守備的な選択でないことは、2011年1月、オーストラリアとのアジアカップ決勝や2012年 11月のオマーン戦で証明されている。いずれも、左サイドを切り崩して、決勝ゴールを奪っている。 ジョーカーとしての役割を期待して、最後の最後に選ばれた大久保も有効に活用したい。コートジボワール戦では香川に代わって左サイドハーフに入り、守備に奔走するはハメになった。これでは、昨季J1得点王に輝いた得点力を生かせない。最もゴールに近い位置で起用してこそ、大久保の魅力を引き出せる。また、ザンビア戦で大久保のゴールをアシストした青山とセットで送り込んでも面白い。 コートジボワール戦の後半途中から披露した、香川をトップ下とし、本田を1トップにする布陣も発想としては悪くない。12年10月のブラジル戦以来だったため、コートジボワール戦では不発に終わったが、香川のポジションを移し、空いた左サイドハーフに齋藤を投入すれば、ギリシャの守備陣を揺さぶれるはずだ。選手の立ち位置やシステムの変更、選手交代でゲームを動かすのは監督の仕事。ザッケローニ監督には流れを読んだビビッドな采配を期待したい。 ■わずかな期間でチームを立て直した経験 ザックジャパンには、わずかなインターバルでチームを立て直した経験がある。思い出されるのは昨年6月、ブラジルで開催されたコンフェデ杯だ。地元ブラジルとの初戦で日本はまったく良さを出させてもらえず、0-3で完敗した。その後、組織力をベースにしたこれまでのスタイルで戦うことを再確認して臨んだイタリア戦で2点を先行することに成功した。試合巧者のイタリアにミスを付け込まれ、最終的には3-4で敗れたが、この試合はザックジャパンのベストバウトのひとつに数えられている。 たしかに、コンフェデ杯のイタリアは初戦でメキシコを下した余裕からか、日本戦との一戦では隙があった。一方、今回の対戦相手であるギリシャは、初戦でコロンビアに0-3で破れ、あとのない状況に追い込まれている。だが、コンフェデ杯での成功経験は、初戦を落として境地に立たされた今、大きな拠り所になるはずだ。 (文責・飯尾篤史/サッカーライター)