史上初の民間宇宙遊泳が成功。テック起業家ら4名が、宇宙の真空に
ほかにも重要なミッションがあった
「Polaris Dawn」ミッションでは、ほかにも多くの“初”となる任務の達成を目指していました。 そのひとつが、放射線が宇宙飛行士に及ぼす影響をテストすること。Crew Dragonは、打ち上げから1日経ち、SpaceXの宇宙船で史上最高高度となる約1,400kmの最高軌道に到達しました。この高度は地球を取り囲む「ヴァン・アレン帯」と呼ばれる放射線帯の領域であり、ここに飛び込むことで今回のテストの実施をしたとのこと。 さらに、「Polaris Dawn」では、SpaceXの衛星インターネットシステムである「Starlink」のレーザー通信のテストも行ないました。Starlinkはレーザーを使用して衛星間のデータを中継します。同社は、この技術を将来的な月や火星でのミッションにおける通信システムに役立つように開発したいと考えているそうです。
無事に帰還!
史上初となる民間宇宙遊泳を含む5日間のミッションを終え、Crew Dragonはアメリカ東部時間の9月15日早朝にフロリダ沖に着陸し、無事帰還を果たしました。 この5日間の間に先述のテストや宇宙不適応症候群(いわゆる「宇宙酔い」)の理解を深めるものなど30件以上の科学実験と研究プロジェクトが実施されました。 今回、民間宇宙飛行としての船外活動は初の試みでしたし、弾道飛行も通常をはるかに凌ぐものでした。非常に大きな達成として宇宙開発の分野として今後につながるものになったことは間違いないでしょう。とはいえ、「民間初」と銘打たれたこの達成も、それを自宅で見ている私たちは、宇宙がまだまだ遠いと改めて感じることにもなったかもしれません。
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