なぜ稲葉監督は不振の坂本を2番で起用し復活ドラマが生まれたのか?「勇人の努力を野球の神様が見ている」
野球の世界一を決める「プレミア12」のスーパーラウンドの第3戦が13日、東京ドームで行われ、日本は全勝のメキシコに3-1で快勝した。不振の打線を大幅変更。2番に起用した坂本(巨人)が3安打1打点の復活ドラマを演じ、守っては先発の今永(横浜DeNA)が6回をソロアーチ1本に抑え、甲斐野(ソフトバンク)、山本(オリックス)、山崎(横浜DeNA)がノーヒットリレー。16日の韓国戦に勝てば自力での決勝進出が決定するが、15日に韓国がメキシコに勝てば、その時点で日本の決勝進出が決まる。
「3安打で気持ち的に楽になった」
ジャイアンツのリーダーの心情を痛いほど知る東京ドームのファンが感情移入した。ドームは、約6割程度の入り(3万1776人)だったが、それを感じさせないほどの熱い声が届いた。 1回一死から「2番・坂本」のコールにどっと沸き、そして、そのレフトへ抜けた打球に歓声は二重奏となった。 メキシコのメジャー通算40勝、39歳のベテラン左腕、ラミレスの初球のストライクを打ちにいった。 「わからないピッチャーなので、見ていくといいことがない。シフトを敷いてくれていたのでたまたま。(それがなければ)ただのショートゴロ」 三遊間に3人を配した変則シフトのため本来のショートの位置が空白になっていた。そこを鋭い打球が抜けていく。 「各バッターにシフトを敷いてくるが、あそこはいい方向に向いた」と稲葉監督もベンチで手を叩いた。塁に出ると続く浅村のカウント2-2から走った。浅村は三振に倒れたが、この盗塁が効いてくる。 「得点圏。なんとしても1点を取りたかった」 頼れる4番の鈴木がセンターへ落とす先制タイムリー。さらに外崎(西武)も三遊間3人シフトの裏をかく、ライト前ヒットで続き、近藤(日ハム)が、さすがのバットコントロールで打球を二塁ベース付近に転がし、坂本が火をつけた炎の3連打で2点を先取した。 坂本の復活劇はまだ序章だった。2回、9番の丸(巨人)が犠牲バントでつないだ一死一、二塁のチャンスに、高めに浮いてきたシュートをフルスイング。ラインドライブのかかった打球は、レフト前を襲い、自身今大会初のタイムリーヒットとなった。 これもファーストストライク。 「昨日(米国戦)はチャンスでいいバッティングができず迷惑をかけていたので、どんな形でもいいのでランナーを還したいと思った」 坂本は一塁ベース上で両手でガッツポーズ。「ベンチで、めっちゃ、みんなが喜んでくれたんで」と、坂本は照れ笑いを浮かべて、その理由を話した。 6回の4打席目にも、また三遊間ヒット。苦悩してきた巨人のキャプテンは猛打賞にも、「内容的にはいいヒットとは思わない。どんなヒットでもいい、3本? ヒットランプが灯って気持ち的にも楽になった。どんな内容でもつなぐこと、塁に出ることが大事。それを継続できればいい」と、まったく浮かれていなかった。