金山明と白髪一雄の革新と独自性。「プラス・マイナス」展がファーガス・マカフリー東京で開催へ
表参道のファーガス・マカフリー東京で、具体美術協会の会員であった金山明(1924~2006)と白髪一雄 (1924~2008)の生誕100周年を記念する展覧会「プラス・マイナス」が開催される。会期は10月3日~12月28日。 本展は、両作家が追求した革新性と独自の絵画手法に焦点を当てるもの。金山のロボットを用いた絵画作品や、白髪が足で描いた独創的な作品を紹介し、「これまでにないものを創れ」という具体のモットーを体現する展覧会だ。 金山と白髪は、尼崎で生まれた幼馴染で、1940年代に芸術家を志し、芸術論を学んだのち、52年に前衛美術グループ「0会」を設立した。村上三郎や田中敦子 もこのグループに加わり、当時の美術界に新しい風を吹き込んだ。54年には、金山の幾何学的な抽象画と、白髪が指や足を使って描いた作品が注目を集め、白髪の提唱する「プラス・マイナス」の芸術哲学が徐々にかたちづくられていった。 その後、1955年に具体美術協会の創設者である吉原治良 に認められ、金山や白髪、村上、田中らは具体に参加することとなった。0会のメンバーたちは、具体に参加した後、55年から57年にかけて野外や舞台でのインタラクティブなパフォーマンスアートを展開し、急速に具体を代表する存在となった。 金山と白髪は、具体に参加する前から独自のスタイルを確立していたが、具体に参加後はそれぞれ異なる方向に発展していった。金山は作家の個人的な表現を排除することを追求し続け、57年には子供用のラジコンにペンや絵の具を取り付けた装置を使って機械的な絵画を制作した。いっぽう、白髪は自らの身振りを強調し、56年にはロープで吊り下げられながら足で描く絵画を発表し、独自の表現を追求した。 今回の「プラス・マイナス」展では、両者の対照的な芸術的アプローチが再評価され、その革新的な表現が現代にどう受け継がれているかを示す機会となるだろう。