世界に逆行する日本「20年で国内の街路樹50万本を伐採」、日本人が知らされない衝撃の事実「樹冠被覆率が30%を切ると死亡者数が増える」
土地の面積に対し、樹冠(樹木の枝葉が茂っている部分)が覆う面積の割合を示す「樹冠被覆率」。 【マンガ】「憧れのタワマン生活」が一転…!残酷すぎる「格差の現実」 「緑の日傘」とも言われる樹冠が増えると、強い日差しを遮り、熱中症予防や都市部のヒートアイランド現象の緩和などの効果が期待できる。そのため、世界各国の都市では樹冠被覆率を引き上げることに力を注いでいるといわれている。 一方、日本ではその動きに遅れをとっており、東京大学「都市・ランドスケープ計画(寺田徹)研究室」の調査によると、東京23区において、2013年の9.2%から2022年には7.3%まで減っていたことが判明したという。 前編記事『「ディズニーランド23個分の樹木」がたった9年間で消滅、杉並区では「約40%減」……「東京23区の猛暑化」に歯止めが効かない「驚愕の背景」』に続き、樹冠被覆率を引き上げるために海外の都市で行なわれている取り組みを紹介する。
欧州では活発な動き
日本ではまだ聞き慣れない樹冠被覆率だが、人命に関わるほどの猛暑や災害の発生などが深刻な欧米諸国では、樹冠被覆率を高めようとする動きがここ数年活発化している。 東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授の寺田徹氏(緑地計画学)が解説する。 「樹冠被覆率が注目されたきっかけの一つとして、特に欧米諸国の熱波の問題が挙げられます。毎年相当数の死者が出ており、日本よりも格段に気候変動の影響が出ています。近年は夏の時期には40度を超える気温なので、樹冠被覆率を上げて、緑の日傘を増やしていかなければ死者が増えてしまうという危機感が、欧米諸国は強いといえます」(寺田氏、以下「」も)
樹冠被覆率30%で死亡者が減る
アメリカのニューヨーク市は昨年秋、2035年までに樹冠被覆率を現状の22%から30%に引き上げることを目標に掲げた。 欧州の都市を対象とした調査で、樹冠被覆率が30%まで高まると、都市の平均気温が0.4度下がり、ヒートアイランド現象による死亡者数が減るという研究もある。 英紙ガーディアンによると、ニューヨーク市では、LiDARデータ(レーザー光線を使用して環境内の正確な距離と動きをリアルタイムで測定するリモートセンシング技術)を使用して、市内の700万本の樹木の詳細な3Dマップを作成。 そのマップからは、個々の樹木の樹冠の状況をリアルタイムで視覚化できるという。 「ニューヨーク市では、樹冠被覆によって建物内に差し込む日射量が緩和され、エアコンの効率が上がった結果、電気代の抑制やCO2削減につながるという効果などをネット上で公開しており、誰でも見ることができます。また、どのエリアにどのくらいの樹木が必要なのか把握できるようになり、効率的に樹冠被覆率を引き上げようとしています」 他にも、シンガポールでは『シティ・イン・ア・ガーデン』というコンセプトを掲げて、緑化政策を進めており、樹冠被覆率が世界トップクラスといわれている。