「選手に対するいじめをやめて」渦中の女性ボクサーが切実な訴え “性別騒動”は「人間の尊厳を傷つけるようなこと」【パリ五輪】
パリ五輪に出場し「性別騒動」で注目を集めている66キロ級の女性ボクサー、イマネ・ケリフ(アルジェリア)が、悲痛な胸の内を明かした。 【画像】エアコンなしの質素なデザイン? パリ五輪選手村の全容をチェック 『AP通信』によると、準々決勝でハンガリー代表のアンナ・ルツァ・ハモリを破り、銅メダル以上を確定させたケリフは『SNTV』のインタビューに応じ、自身の性別に関する騒動について現在の心境を語ったという。 ケリフは「私は世界中の人々に対し、オリンピックの原則とオリンピック憲章を守り、すべての選手に対するいじめをやめてほしいとメッセージを送ります。なぜなら、いじめには甚大な影響があるからです」とコメント。さらに「いじめは人々を破壊し、考えや精神、心を殺します。人々を分裂させる可能性があり、そのためには、私は人々にいじめを控えるよう求めます」と、ネット上で「元男性」などと誹謗中傷を受けた経験から、いじめの恐ろしさを訴えた。 57キロ級準々決勝では、同じく性別問題で注目された台湾のリン・ユーチンがブルガリアの選手を破って銅メダル以上を確定させている。 ケリフとリン・ユーチンは、国際ボクシング協会主催の世界選手権で「DNA検査」を行った結果、XY染色体を持つとして出場が認められなかった経緯がある。しかし、同選手らは東京五輪を含め過去の大会でも女子選手として出場してきたことを主張。今大会への参加を巡り、国際オリンピック委員会(IOC)も医学的に問題がないと断定しており、トーマス・バッハ会長は「女性として疑う余地はない」と声明を発表している。 ケリフは準々決勝で勝利したあと、リング中央に行き観客に手を振ると、ひざまずいて手のひらをキャンバスに叩きつけた。「イライラを抑えられなかった」とし、これまでの一連の騒動を「人間の尊厳を傷つけるようなことだったから」と振り返った。 また、ケリフは「私は週に2日、家族と連絡を取っています。家族が深刻な影響を受けていないことを願っています」と、遠く離れた家族を思いやった。また、「神のご加護があれば、この危機は金メダルという形で終結することを祈っています」と、女子ボクシングでアルジェリア初の五輪金メダル獲得を目指す決意を述べている。 現地時間8月6日(日本時間7日)に女子66キロ級準決勝でタイのジャンジャエム・スワンナペンと対戦するケリフ。母国に金メダルを持ち帰るため、まずは決勝の舞台を目指す戦いに挑む。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]