40代男性記者がVTuberやってみた 現役VTuberから学んだ「なりたい自分になれる」魅力
たしかにリスナーが数人いて、コメントもちらほら見えていたものの、これまでの課題をクリアするのに手いっぱいだった。ただ交流が図れるようになれば、ハマりそうだとも感じた。 定期的に配信を続け、常連リスナーも増えて人気VTuberともなれば、その先には専業で生活することもできる。ゆういさんは、「私は兼業ですが、配信でもしっかり収益をいただけています」と話す。 ■収入100万円の月も 前出のファム・ファタルさんは専業のVTuberだ。 「月ごとの収入は結構極端で、自分の誕生日やデビュー何周年など、イベントスケジュールや規模にもよりますが、ひと月に100万円の収入があることもあります。将来的には『ファム・ファタル』のIP(知的財産)をはじめとして、何人かのVTuberを抱える会社を立ち上げたいと考えています」 何とも夢のある話だが、Vライバー事務所「niicoV」を運営するniico代表の久保悠貴さんはこう話す。 「Vライバーの収入は投げ銭(視聴者による金銭支援)によるところが大きいので、まさに人気商売でピンキリ。今はアプリなどが充実していて、VTuberやVライバー参入へのハードルは低くなっていますが、数年前からレッドオーシャンになっていて、お金を稼ぐためというよりは趣味で始めようという人のほうが多いと思います。稼ぐという一面で言えば、伸び悩んで辞めていく人もたくさんいますし、生半可な覚悟では飛び込めない業界でもあります」 記者にあわよくば稼ぐという魂胆はなかったが、ハマる魅力の一端には触れた。 「たとえばイベントで人と同時に登壇するなど、今やVTuberはリアルとシームレスになっています。もうVTuberはオタク文化の特殊な存在ではなく、増えることはあっても減っていくことはないのではないでしょうか」 記者が配信したのはまだ両手で数えられるほどだが、VTuberの奥深さをもう少し探ってみようかと考えている。(編集部・秦正理) ※AERA 2024年12月16日号
秦正理