名古屋・河村市長、公約のキャッシュレス還元は紙も併用「柔軟にやらんと」
名古屋・河村市長、公約のキャッシュレス還元は紙も併用「柔軟にやらんと」
名古屋市の河村たかし市長は15日、市役所で定例記者会見に臨んだ。4月の市長選で掲げた「キャッシュレス決済で1人2万円分のポイント還元」の公約について、紙の商品券も発行するなど当初とは違う形になることに対して「スマホを持っていない人が市民の半分近くいる。柔軟にやらんと」などと弁明。財源についても「名古屋にはお金があるんです」など、あいまいな表現に終始した。
財源説明あいまい「来年あれば3年後もある」
河村市長は公約で「電子マネーを利用し、1人2万円を上限に買物金額の30%をキャッシュバック」「4年間で200億円を還元する」などと表明。対抗馬が掲げていた2万円の商品券配布に対して「キャッシュレスが普及し、経済効果や利便性が大きい」とアピールしていた。 ところが、スマートフォンなどで電子決済ができる市民が全体の半分程度であることや、市外に税が流出することを防ぐシステムの構築にコストがかかることなどから、当初案を事実上断念。市は1万3000円分の買い物ができる1口1万円の紙の商品券と電子商品券を、来年度に各84万口ずつ発行。市民が紙か電子かを選び、抽選で1人7口まで購入できる制度として19日に開会する市議会11月定例会に関連予算案を提出する方針になった。商品券の販売は来年4月から、実際の使用は来年6月からのスケジュールを見込む。 これについて河村市長は会見で「スタートは(スマホなどが使えない人も)みんなが使いやすいようにやって、それからだんだんデジタルキャッシュにシフトしていくのがいい」と説明。公約から変わったのではとの質問に「方向転換ではないですよ」と主張した。 財源については、県の補助金や一般財源を当てる見込みだが、内訳は「これがこれというとあれですから。財政調整基金も(使う)と言うとうっとうしいもんで、それもありますよ、と」などとぼかした。その上で「来年度(確保できる予算が)あるんなら、3年後は(経済効果が生じて)さらにあるんじゃないですか、たぶん」と述べた。
名古屋城バリアフリー技術「いろんなアイデア出して」
名古屋城の木造復元に向けて、バリアフリーの新技術の公募を年明けにも始める方針について「世紀の大工事ですから、みんな早う造ってくれと言うが、文化庁からは慎重の上に慎重を重ねて丁寧にやってくれと言われている」と、当初の予定より大幅にずれ込んだスケジュールについて説明。市長は天守閣へのエレベーター設置を否定していたが、柱や梁を傷付けずに設置できる昇降装置などを含めて「どうぞいろんなアイデアがあったら出して」と呼び掛けた。 (関口威人/nameken)