【海外トピックス】GM、フォードのEV戦略を再点検、“EVシフト見直しか!?”
両社とも長期的なEV戦略を検証、実行している
ソフトウェアも重視している領域で、インフォテイメントや自動運転(支援)システム、パワートレインやブレーキに至るまで広い領域でOTAでのアップデートに対応しており、既に76万台がそうしたデジタルサービスの契約者となっています。商用車フリートのユーザーには、テレマティクスでリアルタイムのドライバー支援機能やセキュリティ機能を提供するなど、来年は10億ドル以上のソフトウェア収益を見込んでいます。 EVやSDV(※1)で他社とパートナーを組まないのか、という質問に対してファーリーCEOは、例えばフォルクスワーゲンとは同社のEVプラットフォーム(MEB)で欧州市場向け新型エクスプロラー(EV)の開発を行っており、そうした協力の意味はよく理解しているとした上で、「今は、電動化やデジタルアーキテクチャへのトランスフォーメーションに向け各社が一世一代の投資を行っている時だ。コスト競争力といった会社の未来を決定するような事を他者に託すようなことはしない」と、自社での垂直的統合型でEV・SDV開発を進める意向です。※1:ソフトウェア・デファインド・ビークル フォードは、VWがシャオペン(小鵬汽車)と組んだように中国メーカーのプラットフォームをほぼそのまま活用するような提携は考えておらず、バッテリーでは電池最大手の中国CATLと組むものの、その他はコンポーネントベースでの協力関係を考えるとしました。過去にマツダやKIAなどと共同開発で豊富な経験があり、そうした形で行けると自信を持っているようです。 フォードは、EVではテスラと中国メーカーをベンチマークにしており、特別に編成したスカンクチーム(調査隊)を中国に何度も派遣してプロダクト開発戦略を練り、その知見を小型EVの開発に活かしていくようです。もしEVでパートナーを組むとしたら大型の車となり、しかも「史上空前レベル」の大きな話になるとの発言もあり、単なる仮定の話なのか個人的には気になりました。 いずれにしても、今回のGMとフォードの決算会見から感じたのは、両社が冷静にマーケットと対話しながら、長期的なEV戦略をローリングで検証しつつ調整・実行しているということです。米国と中国が主力市場で2035年にICE車をやめると宣言しているGMの方が、よりリニアにEVへ至る道を考えているのに対し、欧州フォードや商用車をもち、グローバルなパートナーシップで豊富な経験を持つフォードは、複雑な変革の時代のビジネス構築に対応力があるのかもしれません。デトロイトの両雄の今後の道筋は意外と異なっていくのかもしれないと、両CEOの話ぶりを聞いて感じた次第です。(了)