大声で暴言浴びせる特捜部「取り調べ映像」公開「トカゲのしっぽ切りにするな」【プレサンス冤罪事件解説】
■“強引な手法”今まで録画・録音されるも公開は初 「検察組織自身もかなり驚いているのでは?」
今回の取り調べ映像公開について、大きく2点解説します。 1つ目は、特捜部が行う全ての事件の取り調べは、録画・録音される中、なぜ強引な手法をとったのでしょうか? 【赤穂雄大記者】「今回の事件は、大阪地検特捜部の上の最高検察庁から、『山岸忍さんを行くべきだ』という話がありました。この事件はもともと客観証拠が非常に少なかったので、どうやって山岸さんの関与を立証して逮捕するかと考えた時に、部下から証言を引き出さないと、山岸さん逮捕まではたどり着けない」 「彼らの中でストーリーを作って、そのストーリーをなんとか供述を引き出そうとする。『それがないと事件できない』と彼らは追い込まれてたというのが、あると思います」 「『なぜ録音録画されているのに?』というところですが、これまで特捜部の取り調べはずっと問題視されていましたが、特捜部の取り調べが公開されることは、今まで一度もありませんでした。裁判所が認めてこなかった。今回、公開されたのは、検察組織自身もかなり驚いているのではないかと思います」
■「山岸さんだからこそたどり着けた」事件から5年たって映像公開
2つ目は、事件から5年経過した今、なぜ映像公開されたのでしょうか。 【赤穂雄大記者】「山岸さんは国家賠償請求訴訟を起こした後、『この映像を公開してほしい』とずっと言っていました。『これが冤罪を生んだ根本にあるから、国民の目に触れさせたい』と。でも検察・国はずっとこれを拒んできました」 「何度も何度も拒んで、やっと今回、最高裁判所が『出しなさい』と言ったおかげで、私たちの目に触れることになりました」 「山岸さんみたいに金銭的にも余裕があって、体力的にもまだ元気で、そういう方だからこそ、今回ここまでたどり着けたんだろうと思います」
■「検事の一般常識とかけ離れた感覚、まさにブラックボックス」とジャーナリスト浜田さんは特捜部の在り方に疑問
ジャーナリストの浜田敬子さんは、“特捜部”の在り方について次のように話しました。 【ジャーナリスト 浜田敬子さん】「もともと日本の捜査手法の問題で、“自白偏重”ということが言われているわけです。今回も客観証拠が少ない中で、上から下りてきた指令は『山岸さんまでやるべきだ』と。でも“証拠がない”という時に、かなり自白に頼ってしまう。その自白を引き出すために、かなり強引な手法は特捜部に限らず問題になっていて、今回この特捜部も同じことをしてしまったというのは1つあると思います」 「特に大阪地検特捜部は、以前、証拠の改ざんという、ものすごい事件を起こしてるわけです。村木厚子さんという元厚生労働省の事務次官だった方の冤罪事件も、やっているわけです。でも全くそれが反省されてない」 「それはやはり何が何でも、自分たちのストーリーに沿って、有罪にしなければいけないという、組織的なプレッシャーがあったりする。先ほどは『最高検からの指令だった』ということもありましたけど、それはやっぱり全うしなきゃいけない」 「もう1つ。私は10月に『なぜ検察組織が暴走するのか』というテーマで、村木さんに取材をしてるんです。村木さんが言っていて驚いたことが、村木さんは取り調べの中で『今話せば、執行猶予がつくから話した方がいい』って言われたんです。その感覚にびっくりしたと」 「つまり一般人の感覚からしたら、『有罪か無罪か』が大事なことで、執行猶予がつくからいいわけではないですよね。検事の一般常識とかけ離れた感覚。これは検察という組織が、非常に同質性の強い組織で、結局、誰から評価されるか、上からの評価だけを見て、社会の感覚とすごくずれているということを指摘されてました」 「特捜部というのは、まさにブラックボックス。その象徴的な組織なんじゃないかなと感じました」
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