40歳と39歳のタイトル戦は不惑の王者・出田に軍配「年齢関係なくボクシングが好きで楽しくてやって来られた」
「ボクシング・日本スーパーウエルター級タイトルマッチ」(8日、後楽園ホール) 前日7日で40歳になった36戦目の王者・出田裕一(三迫)と、39歳で27戦目の3位・加藤寿(熊谷コサカ)によるタイトルマッチは、出田が5回2分44秒、TKO勝ちで3度目の防衛に成功した。 【写真】不惑の王者 右腕を凛々しく上げる 出田はデビューから12連勝後の約10年間は11連敗を含む1勝15敗1分とどん底を経験し、一度は引退したが復帰。2022年の王座獲得後は網膜剝離も発症したが克服した。戦績は18勝(9K)16敗1分。 加藤も2度の引退と左アキレス腱断裂を経て2022年、6度目の挑戦で日本ランク入りした。戦績は12勝(8KO)12敗2分。苦労人同士のタイトルマッチとなった。 序盤は左右に周りながら右ジャブを突くサウスポーの加藤に対し、出田は圧力をかけながらパンチを出す展開で、4ラウンドに出田が左フックで最初のダウンを奪取。加藤も連打で猛反撃するが、出田は右フックでダウンを追加する。 5ラウンドに入り加藤は猛反撃を続け、左ストレートで何度も出田を捉えてダメージを与えるが、パンチ力に勝る出田がロープに詰めて強烈な右からの連打をブチ込んでいったところでレフェリーが試合を止めた。 出田は「結果としては倒せて勝てたので思い描いた結果にはなったけど、やって来たことはまるで出なかった。内容が伴ったKOではなかった。力任せ」と反省。「何度か危険な場面があった」と振り返った。 不惑の防衛には「自分は特に年齢は気にしてなかったけど、年齢関係なく、ボクシングが好きで楽しくてここまでやって来られた」と吐露。第2子男児が誕生してから初の試合に勝利し「勝てた姿を見せられたので安心したのが一番ですね。今は分からないけど映像として残るので」と喜んだ。 自身が持つ日本王座の最年長防衛記録を更新したことには「うれしいです」と笑みを浮かべ、「10回はいきたい」と長期政権の樹立を宣言。一方で「1試合1試合なので次で終わるかもしれないですし、それはなんとも言えない。それ(ボクシングが好きで楽しくて)がなくなったら、そうなるとは思わないけど、会長に引退みたいなことは言うかもしれない」と覚悟をのぞかせた。 次の挑戦者は11月に行われる最強挑戦者決定戦、豊嶋亮太-左右田泰臣の勝者になる見込みで、出田は「できれば豊嶋君とやってみたい。勝ちたいっていう思いで試合に臨めるというか、チャンピオンですけど挑戦者のような気持ちで試合に臨めるのは楽しそうだなと。左右田君だからそうならないというわけではないんですが」と、ウエルター級で地域3冠(日本、東洋太平洋、WBOアジアパシフィック)を制した豊嶋との対戦を希望。「実現しても(今日のような内容では)勝つのは難しいだろうなと思う」と課題も口にしていた。 ◇ ◇ セミのフライ級8回戦では、富岡浩介(22)=RE:BOOT=が日本12位の苗村修悟(30)=SRS=に7回1分7秒、KO勝ちした。 サウスポーの富岡はフットワークで苗村の強打を封じ、4ラウンドに左ストレートでよろめかせると、左ストレートで最初のダウンを奪取。7ラウンドにまたもや左ストレートでダウンを追加し、テンカウントが数えられた。 アンダージュニア6冠でデビューから4連勝を飾ったが、その後は3勝4敗と負けが込んでいた富岡は「日本ランカーにやっとなれる」と喜び、「何回も負けてもこうやって乗り越えてきてるのが生きたかなと思う」と勝因を語った。 富岡は「家族だったり射場(哲也)会長には頭上がらないですね」と周囲に感謝。日本とWBOアジアパシフィックのランキング入りを確実にし、「この内容じゃちょっとヒヤヒヤしちゃうかもしれないんで」と照れ笑いしつつも、「練習して上のやつらみんな引きずり下ろすので、楽しみにしていてください」と成り上がりを宣言した。