年始に親戚同士で集まったら、亡き父の遺産「1000万円」をめぐって喧嘩になりました。長男の私が多くもらっても問題ないですよね?
仲の良かった親戚同士が、遺産を巡って相続争いを起こすという話は、決して珍しいものではありません。特に、遺産分割に関する争いは令和4年においては1万2000件以上起きており、決して人ごとではありません。 そこで、今回は相続について、1000万円の遺産を巡る争いを例に、考えていきます。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
相続人の範囲はどうなっている?
法定相続分は、相続人となりうる者の範囲によって明確に定められています。基本的には、亡くなった方の配偶者は必ず相続人となります。その配偶者と共に、亡くなった方の子、父母、兄弟姉妹の中で、最も優先順位の高い者が相続します。 また、相続分の割合は、相続人が誰かによって異なります。子、父母、兄弟姉妹がそれぞれ複数人いるときは、原則として全員で均等に分けます。 相続人が配偶者と子の場合は、2分の1ずつです。配偶者と父母である場合は、配偶者が3分の2、父母が3分の1となります。そして、配偶者と兄弟姉妹という場合、配偶者は4分の3で兄弟姉妹が4分の1となります。 さらに、相続には「代襲相続」という制度があります。代襲相続とは、本来相続人となるべき方が既に亡くなっている場合に、その方の親や子、もしくは孫、兄弟姉妹が本人に代わって相続人となるものです。 仮に子が亡くなっていれば孫が(孫が亡くなっている場合はひ孫に再代襲)、父母が亡くなっていれば祖父母が、兄弟姉妹が亡くなっていればおいやめいに、という具合です。
相続は長男だから多くもらえるというわけではない
先述のとおり、同順位の相続人が複数存在している場合、その同順位の方々は全員が同じ割合で相続します。長男だから多く、というわけではないのです。 例えば、相続人が亡くなった方の配偶者と長男と次男の計3人であり、1000万円の遺産を分配する例で考えてみましょう。 この場合、1000万円の遺産を法定相続分どおりに分配するのであれば、配偶者が500万円(2分の1)、長男と次男はそれぞれ250万円(2分の1をさらに均等にするため)ずつ分けることになります。 法律上は子について、長男だから・次男だから、などと区別していないのです。 ただし、兄が家業を無給で手伝っていたり、親の介護に長年従事していたなど特段の事情があったりすれば、それは「寄与分」として考慮され、通常の相続分より多くの取り分が認められることもあります。