トランプ氏の出馬容認、最高裁「全会一致」の水面下で渦巻く反対意見
(ブルームバーグ): トランプ前米大統領は今年の大統領選に出馬する資格があると、米連邦最高裁判所は表向きは全会一致で判断したが、水面下では不協和音が渦巻いていた。
リベラル派3判事が出した「同意意見」は、3人が最終判断に憤りを感じていることを隠さない。反乱に関与した人物の公職就任を禁じた憲法修正14条3項が保守派判事らによって不必要に骨抜きにされたとして、3人は辛辣(しんらつ)な批判を浴びせている。
ソトマイヨール、ケーガン、ジャクソン3判事は「慎重な扱いを要するケースが司法による抑制を強く求めていたが、最高裁はその道を進まなかった」と同意文書に記述した。その題とは異なり、中身は反対意見のように受け止められる。
作者不明のこの意見書が公開される5日前、最高裁はトランプ氏に関する別の重要案件について判断を下している。最高裁は先週、2020年の大統領選挙結果を覆そうとした刑事裁判について、プロセスの一時停止を延長し、その間に大統領免責特権について審理すると発表した。11月の選挙前に審理が決着できないリスクが生じているが、この判断に公的に反対意見を表明した判事はいない。
コロラド州のケースにおいて、リベラル派は調和を装う努力はしなかった。最高裁が2022年6月に人工妊娠中絶の憲法上権利を否定した際にロバーツ長官自身が書いた「保守派判事は行き過ぎている」との言葉を、リベラル派は今回の同意文書の冒頭で引用。トランプ氏の出馬資格を認めた最高裁としての意見書を執筆したとみられるロバーツ長官に、批判の矛先を直接向けている。
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リベラル派の意見は当初、部分的な反対意見だった可能性がある。ウェブマガジン、スレートのマーク・ジョゼフ・スターン氏によれば、最高裁が開示したリンクのメタデータは当初、部分的な反対意見と表示されており、ソトマイヨール判事が単独で執筆したことが示されている。