広島 現役引退の野村祐輔氏 就任の「3軍投手コーチ兼アナリスト」は球団初のポスト「これから僕も勉強」
今季限りで現役を引退した野村祐輔氏(35)が19日、マツダスタジアムでコーチ就任会見に臨んだ。球団初のポストとなる「3軍投手コーチ兼アナリスト」を務めることになり、背番号は「92」に決まった。選手に寄り添うサポートはもちろん、データ分析に基づく指導に主眼を置くアナリストも兼務。“二刀流”でカープを支えていく。 柔和な笑みを携えて、丁寧に言葉を発する姿は変わらない。13年の現役生活を終え、続けて迎える14年目は、新たな役職で赤いユニホームに袖を通すことになった。野村コーチは「来季からもユニホームが着られるということで、身が引き締まる思いでいます」と率直な心境を明かした。 肩書は「3軍投手コーチ兼アナリスト」という球団初のポスト。親身にサポートする姿勢をモットーに掲げ「いい時も悪い時も選手に歩み寄っていけるコーチが理想です」と進むべき指針を明確にした。そして兼務するのはアナリストという別角度からの視点だ。 現在、球団OBのアナリストは飯田哲矢チーフアナリスト、一岡竜司アナリストの2人がおり、野村コーチで3人目となる。近年は「ラプソード」や「ホークアイ」などの機器が球界に導入され、球速や回転数、ボールの変化量などが正確に数値化されて分析できるようになった。データ的な着眼点から投手陣のレベルアップを図ることも役目。“二刀流”として選手に寄り添っていく。 鈴木球団本部長は「経験があるし、彼にはアナリストとして勉強もしてほしいということで。選手もデータや映像とか、そういうものを見る世代になってきた。コーチも(自身の)経験値と同時にそういう新しい情報を共有できるように、今のうちからやった方がいいんじゃないかと」と新ポストに抜てきした理由を説明。同コーチも「これから僕も勉強。これからいろんなことを学ぶ準備はしていきたい」と多くを吸収していく構えだ。 現役時代は多彩な球種と抜群の制球力を武器に打者を翻弄(ほんろう)し、新人王や最多勝など多くの勲章を手にした。そしてマウンドに上がるまでの準備を、何より重視して腕を振ってきた。 若手選手に伝えたいことを問われると「選手それぞれがいろんな経験をして、そこで気付くことが一番選手にとっては(選手自身に)入ってくる。多くのことを経験してもらいたい」と語った。同時に積極的な意思疎通も図っていく。「プロ野球界で経験させていただいたことを、分かりやすく伝えていけたら」。光る原石に磨きをかけて、多角的なアプローチで後輩たちの夢をともに追う。 ◇野村 祐輔(のむら・ゆうすけ)1989年6月24日生まれ、35歳。岡山県出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。広陵から明大を経て、11年度ドラフト1位で広島入団。プロ初登板初先発は12年4月1日・中日戦(ナゴヤドーム)。プロ初勝利は12年4月8日・DeNA戦(横浜)。24年限りで現役引退。12年に新人王。16年に最多勝(16勝)と最高勝率(・842)。ベストナイン1回(16年)。