考えたくない老後、でも気になる「3つの不安」
最近、雑誌やテレビなどのマスコミで、やたら老後不安をあおる記事が増えてきています。「老後破産」とか「下流老人」といった暗い言葉が目につくようになりました。 こうしたフレーズを目にするにつけ、誰もがとても不安な気持ちに襲われることでしょう。でも普通に働いている人で、原理原則さえ間違えなければ、それほどひどいことにはなりませんから、むやみに不安になる必要はありません。ただ、ライフプランは人それぞれですが、「老後」だけは誰にとっても確実にやってくるということは事実です。だとすれば、老後への備えはできるだけ早くから始めた方がよいのは事実です。
老後準備はいまからでも決して遅くない!
でも逆に「もうこの年齢では遅い」ということも決してありません。理想を言えば、40歳前後ぐらいから考えるのがベストだと言えます。特にこのコラムでは主に老後資金のつくり方をメインテーマとしてお話しするわけですが、もし仮にいまの時点で老後のための蓄えが全くなかったとしても決して焦ることはありません。資産形成というのは短期間で一気にできるものではなく、ある程度の時間を必要とするものですが、60歳もしくは65歳まで働くとしてもまだ20~25年ぐらいの期間はあります。それに、自分で蓄える以外にも自動的にもらえるお金、例えば年金や退職金などもあります。このシリーズでは老後準備の原理原則を間違えないようにするため、その準備の方法を考えると共に、何が安心で何が不安なのかをはっきりとわかるようにしたいと思っています。
老後には「3つの不安」がある
さて、老年期には「3つの不安」があると言われています。それは「病気」、「貧困」そして「孤独」の3つです。 少し前ですが、2013年に厚生労働省が実施した「高齢期における社会保障に関する意識等調査」というのがあります。それによれば、老後に対する不安で最も大きいものは「健康」の45.7%、次いで「生活費」すなわちお金に関することが35.1%となっています。やはり病気と貧困に対する不安というのは非常に大きく、全体の約8割以上を占めているのがわかります。 ここだけで見ると「孤独」ということに対する不安はあまりないようにも見えるのですが、内閣府による別の調査によれば、過去30年間に高齢者人口に占めるひとり暮らしの老人の割合は、女性でも2倍、男性では何と3倍にも増えています。つまり、急速に“孤独な高齢者”が増加してきているのです。今後はこうした「孤独」に陥ってしまう不安というのはますます増加していくことが想定されます。