考えたくない老後、でも気になる「3つの不安」
また、この3大不安は必ずしもそれぞれが全く別個のものというわけではなく、お互いにある程度関連しているという部分もあります。例えば病気になって身体が動かなくなると働けなくなります。当然収入の低下となり貧困の原因になると同時に、社会とのつながりがなくなって孤独になる、といった具合です。また逆に働く場がなくなると経済的な困窮だけではなく精神的にもダメージが生じて心身の不具合を招きやすいということも言えます。このように考えていくと、この3つはいずれも深い関連を持っていると言えます。
どうやって対処すればいいか?
では、これらの問題についてはいつから、どう対処していけばいいのでしょうか。まずは健康です。これはおそらく年齢を問いません。若いうちから健康管理に気をつけておくのは社会人としては当然のことです。いままで無理をしたり不摂生をしたりしてきた人は生活習慣病のリスクがほかの人以上に高まっていますから、できるだけ早く自分の健康管理について関心を持つことが必要です。私は健康問題の専門家ではありませんから、この程度のことしかお話できませんが、何よりも自己管理が大切ということでしょう。 次に孤独への対処ですが、これは50代に入ってから考えても遅くありません。60歳以降に仕事からリタイアした後の人脈作りということについては、資産形成ほど時間のかかるものではありませんので、40歳前後ではそれほど深刻に考える必要はないでしょう。このコラムでも少しは取り上げますが、やはりこのシリーズで最大のテーマとしたいのが「お金」のことです。 前述したように資産形成というのはある程度の時間が必要ですから、60歳のリタイア寸前になって急に何とかしようと思っても限界があります。ただ、それほど強迫観念に駆られて資産形成のために無理をして貯蓄や投資に励む必要もありません。いずれ詳しくお話していきますが、公的年金というのはそれほど頼りにならないものではありませんし、サラリーマンであれば、退職金や企業年金が受け取れる場合もありますから、全てが自助努力で備えなければならないということではありません。それに最近では個人の自助努力のために様々な優遇のある制度もできつつあります。 普通に仕事や生活をしながら、焦らずのんびりと20~25年かけて老後お金のことを考え、準備していく、このコラムがそのきっかけになればと考えています。 (経済コラムニスト・大江英樹)