孤立とは程遠いプーチン氏、BRICS首脳会議を自国で開催
グローバルな危機
ロシアが主催する今回のBRICS首脳会議は、南ア・ヨハネスブルクで開かれた昨年とは非常に対照的だ。当時プーチン氏はビデオのスクリーン越しの出席で、直接会議に参加することが出来なかった。ウクライナを巡る戦争犯罪の罪に問われ、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ていたためだ。 今年は、激しさを増すウクライナでの戦争に加え、中東での紛争拡大も首脳らの中心的な議題になる公算が大きい。中東ではイスラエルがイランの代理勢力との戦いを繰り広げている。 プーチン氏は先週、パレスチナ自治政府のアッバス議長がBRICS首脳会議に出席することを確認した。プーチン氏とロシアの当局者らは、中東紛争を使って米国による支配のない新たな世界秩序についての議論を進める公算が大きいと、専門家は指摘する。グローバルサウス(主に南半球の新興・途上国)の間では、米国及び同国のイスラエル支持に対する怒りが広がっている。 中ロ両国は中東情勢に関して停戦を呼び掛け、イスラエルの行動を批判している。一方の米国はイスラエル側に立ち、ガザにおけるイスラム組織ハマス、レバノンにおけるイスラム教シーア派組織ヒズボラへの報復権を擁護する。 米シンクタンク、大西洋評議会の非常駐上級研究員でアブダビを拠点とするジョナサン・フルトン氏によれば、BRICS首脳会議に出席する国々の多くは中東での紛争について、自分たちがなぜ影響力を高める必要があるのかを示す第一の事例と捉えている。ただこういった国々は大抵、自分たちの気に入らない事柄を批判する口実に紛争を利用しているのであり、「問題を解決へと導くことには関心を示さない」という。 この他、中国とブラジルがBRICS首脳会議の場でウクライナ危機に対する合同の和平構想を打ち出すのかどうかにも注目が集まりそうだ。両国は先月の国連総会でこの構想を発表したが、ウクライナのゼレンスキー大統領はこれを痛烈に批判。当該の構想はロシア政府を利するものだとし、中ロ両国に対して自分たちの影響力を高めるためにウクライナを犠牲にするのは認めないとの考えを示していた。 一方、プーチン氏はカザンでの会談を通じ、BRICSの各国首脳やその他友好国の代表団らと個別に協議する機会を数多く得ることになる。