米アーカンソー州に「大量のリチウム」、米国の輸入量以上の可能性
米アーカンソー州の地下に電気自動車(EV)のバッテリーに欠かせないリチウムが相当量埋蔵されているという研究結果が発表された。埋蔵量は、米国が現在輸入している量を上回る可能性があるという。 米国地質調査所(USGS)とアーカンソー州政府は10月21日、州南部にあるスマックオーバー層の地下の塩水に、510万~1900万トンのリチウムが含まれている可能性があると発表した。このリチウム鉱床は、機械学習モデルと地質情報を用いた濃度予測の結果、現状で米国に存在すると推定されるリチウムの量の35~136%を占めているとされる。 スマックオーバー層では、すでに複数のエネルギー企業が石油やガスなどの天然資源の採掘を行っており、リチウムは、鉱物が豊富に含まれた地下水から抽出できる可能性があるとされる。 「我々は、この地域に米国が現在輸入している量を上回る量のリチウムが水に溶けた状態で存在していると推定している」と本研究の主要研究者キャサリン・クニリムはプレスリリースで述べている。 リチウムの需要は、EVの需要の拡大により急速に増加しており、2025年までに150万トンに達し、2030年までに300万トン以上に達すると予測されている。USGSの2024年の報告書によれば、リチウムの消費量の87%はEVによるものだ。 国際エネルギー機関(IEA)によると、昨年、世界中で新規に登録されたEVの台数は約1400万台で、2022年から35%増加している。 世界経済フォーラムの報告によると、リチウムの3大生産国は、オーストラリア、チリ、中国とされている。オーストラリアは世界のリチウムの50%以上を生産しており、その多くが中国で加工されている。 米国は大量のリチウム埋蔵量を有しているが、世界の供給の2%未満しか生産できておらず、採掘事業は、環境保護活動家からの反発に直面している。バイデン政権は、2022年のインフレ抑制法の下で、EVバッテリーに使用される材料を国内で抽出および加工する企業への投資を奨励しており、税制上の優遇措置を受けるためのインセンティブが提供されている。
Lindsey Choo