《シニア世代の投資術》ムダな金融商品を買わされないために…金融機関に相談に行ったときに注意すべき5つのポイント
シニア世代は資金管理が大切
現役世代ではよく積立投資がすすめられるが、これはまとまった元金がないときに、時間をかけて少しずつ資産を作っていくための投資方法だ。まとまった資金のあるシニア世代の場合は、運用するだけでなく「資金管理」という観点も非常に重要となる。 シニア世代でまとまった資金がない場合には、資産運用を無理にする必要はなく、働く期間を延ばして収入を維持するか、支出を抑えることのほうが重要だそうだ。 「運用するにしても、いつまで運用を継続するのか想定しておく必要があります。人間ですので、いつまでも同じ判断力が続くわけではありません。1つの目安として80歳になる頃には、現金重視の資金管理をしていくことを考えておきましょう」 ◆判断力があるうちに備える 「高齢になるほど、いかに資産状況をシンプルに整理しておくかが重要になります」と西崎さん。ほとんどの人は管理が面倒になるためだ。また、いくら増えた資産であっても現金化するまでは運用成果は確定しておらず、いざ何かが起きてから対応すると、時すでに遅しということが大半だ。 「健康で判断力があるうちに備えておくことがもっとも大切です。これは運用だけでなく相続にもつながる大切な資産管理のポイントです」 ◆“残りの時間”を意識して選ぶ 金融商品を売却したり、満期を迎えて現金化したりすることを運用の「出口」と呼ぶことがある。しかし、金融商品には、比較的簡単に途中で現金化できるものと、現金化が難しいものがあり、現金化が難しいもののなかには、途中解約がそもそもできないケースと、途中解約すると大幅にリターンが下がるケースがある。 現役世代の場合は満期までじっくり待つことができる場合も多いが、シニア世代は現役世代ほど時間の猶予はなく、いざというときに現金として使えなければ、いくら増えていても意味がないと言える。 「シニア世代になると出口戦略を考えたうえでの資産運用、つまり資産管理が必須であり、出口戦略をまったく想定せずに資産運用をしてはいけません」 シニア世代に適した投資戦略は、現役世代に適した投資戦略とは異なる。いつごろどのように現金化するかも考慮したうえで、必要な金融商品や金融サービスだけを購入する意識が大切だ。 ◆教えてくれたのは:シニア投資コンサルタント・西崎努さん にしざき・つとむ。大手証券会社の全国トップセールスとして活躍後、新規・既存の上場会社や不動産投資法人(REIT)の新規公開・公募増資等の株式引受業務に従事。2017年に独立し、リーファス株式会社を設立後、リタイア期前後や高齢期の投資家を中心に、金融商品の仕組み、運用実務、大手銀行や証券会社の販売手法を熟知した投資のアドバイスを行う。著書に『老後資産の一番安全な運用方法 シニア投資入門』(アスコム)や『やってはいけない資産運用 金融機関のカモにならない60歳からの資産防衛術』(アスコム)など。