五島屋前、年内に規制解除 輪島中心部の道路、ビル3階以上解体進む
●住民安ど「気持ちも前に」 能登半島地震の被害を象徴する輪島市のビル倒壊現場で、震災発生以降続いていた周辺道路の交通規制が年内に解除される見通しとなった。市によると、「五島屋」のビルは公費解体が進み、市道にせり出した上層階を含む3階以上の取り壊しが12月21日までに完了するめどが立ったという。市内では交通量が多い中心部の道路で片側交互通行がようやく解かれることになり、不便を強いられてきた住民からは「これで気持ちも前に進む」と安どの声が聞かれた。 【写真】公費解体が進み、仮囲いの外側からは3階以上の建物が見えなくなった 輪島塗老舗「五島屋」のビルは、地震で隣接する居酒屋を押しつぶし、上層階が路上にはみ出す形になっている。地震に伴う大規模火災に見舞われた「輪島朝市」近くにあり、車の往来が激しいことから、安全確保のため交互通行の規制が敷かれ、朝夕は混雑している。 ビル本体の取り壊しは5日に始まった。周辺に設置された仮囲いの外側から3階以上の建物が見えなくなったものの、ビルの下敷きになった居酒屋と接する上層階は一部残っているという。居酒屋では店主の妻と長女が犠牲になった。 ビルはコンクリート造りで、1970年代に建てられた。基礎部の一部が地面にめり込んでおり、くいの破損や地盤が原因ではないかと指摘されている。国土交通省が基礎部を中心に倒壊の原因を調べている。 ビルの近くに住む多賀美(よし)太郎(たろう)さん(65)=河井町=は「倒れたビルを見ると震災の記憶がフラッシュバックする。雪が降る前にビルを撤去し、交通規制を解除してほしい」と話した。