金沢周辺、縮むバス網JR・まちバス撤退、北鉄・8路線廃止検討 来年3月
●運転手不足、深刻 金沢市中心部や金沢周辺を走る路線バスが来年3月に相次いで廃止・縮小される方向であることが25日、関係者への取材で分かった。西日本JRバス(大阪市)は、100円でまちなかを周遊できる「まちバス」から撤退、北陸鉄道グループ(金沢市)も8路線を対象に廃止・縮小の検討を進めている。いずれも運転手が確保できないことが要因。深刻な人手不足により、「地域の足」の維持が難しくなっている。 【全部または一部区間の廃止が検討される路線】 ●代替手段を確保へ まちバスは金沢中心部への回遊を促そうと、金沢商業活性化センター(TMO)が、西日本JRバスに運行を委託し、2008年に本格運行を開始した。 金沢駅を発着点に近江町市場や片町、竪町、金沢21世紀美術館などを循環するルートで、土日祝日に1日30便、20~30分間隔で出発するダイヤを設定し、観光客を中心に利用されてきた。 ●黒字維持でも TMOによると、新型コロナの感染拡大で乗客数が一時落ち込んだものの、100円でまちなかの主要スポットに到着できることから、利用が堅調で近年は黒字を維持。累計の乗客数は約410万人となっている。 ただ、JRバス側から運転手不足やバスの老朽化を理由に廃止が打診され、1年ほど前から協議していたという。JRバスの担当者は運転手不足が顕著だとし、「車両更新のコストを考えると、これ以上の運行は難しい」と話した。 TMOの担当者は北國新聞社の取材に「中心商店街のにぎわいのため、金沢駅と市中心部を結ぶ交通手段は重要」と強調、関係団体と代替の交通手段の確保を検討する意向を示した。 ●医科大や白山麓方面 北鉄グループは北鉄金沢バス、北鉄白山バスの計8路線の全区間または一部区間を来年3月15日に廃止することを検討している。25日までに北陸信越運輸局に届け出た。 廃止・縮小が見込まれるのは、北鉄金沢バスが運行する内灘町の金沢医科大病院から金沢市香林坊までの田中医大線のほか、北鉄白山バスの野々市金大線、鳥越線、白峰線、白山線、川北線、三反田線、鶴来線。いずれも利用客が少ない区間が対象となっている。