北陸新幹線「小浜一択」に異論 岡田氏再検証へ自主研究会 「敦賀乗り換え解消早く」
●「米原」「湖西」選択肢探る 北陸新幹線敦賀以西を巡り、自民党の岡田直樹参院議員ら県関係国会議員5氏は25日、ルートを再検証する自主研究会の初会合を国会内で開き、「敦賀での新幹線、在来線の乗り換えの解消を急ぐべきだ」との認識で一致した。現行の「小浜ルート」は工期や事業費が当初想定から大幅に増大。着工の前提条件が変わったとして「小浜一択」に異論を唱えた形だ。過去に検討された「米原ルート」や「湖西ルート」など多様な選択肢について議論を進める。 【地図】北陸新幹線 敦賀ー新大阪ルート案 会合は冒頭を除いて非公開。研究会座長の岡田氏のほか、佐々木紀衆院議員、宮本周司参院議員、西田昭二、小森卓郎両衆院議員が出席した。 岡田氏はあいさつで小浜ルートの事業費が当初の2兆1千億円から最大5兆3千億円に膨らんだことに触れ「ルート選定時の前提条件が大きく変化したと言っていい」と指摘。「このまま進むことが妥当なのか。もう一度多様な選択肢を丁寧に議論し、国民的な理解を得る必要がある」と述べた。「小浜ルートを一概に否定するわけではない」とも強調した。 研究会で再検証するのは▽米原ルートの工期、事業費▽湖西ルートの工期、事業費▽JR湖西線を活用したミニ新幹線による整備▽フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)技術の再検証・活用▽在来線特急の活用―の5点。初回はこれらについて、小浜ルートに比べて優位な点と課題をまとめた。 米原に関しては、工期の短さがルート選定当時の検証対象の中で最も優位であり、長大トンネルの建設に伴うリスクも小浜ルートより小さいと指摘した。沿線自治体に加え、東海地域との結び付きが低下する団体からも米原を推す声があるとし「議論・検証することは不可欠」と確認した。 一方、東海道新幹線の過密ダイヤに加え、運行管理システムが北陸と東海道で異なる点から直接乗り入れが難しくなるため、米原乗り換えが固定化することを課題に挙げた。その上で中央リニア新幹線の開通で東海道のダイヤに余裕ができることや、工事期間中にシステム改修ができる可能性がある点を考慮すべきとした。 研究会には交通政策に詳しい京大名誉教授で富大特別研究教授の中川大氏が有識者として出席した。関係者によると、中川氏は米原ルートから東海道新幹線への乗り入れについて「小浜ルートの事業費に比べれば、はるかに安い金額で運行システムを改修できる」と説明した。 参加した議員からは「能登半島地震からの復興のため一刻も早く関西とつないでほしい」との意見が出た。 研究会は関係者に意見を聴取し、政府与党への提言を視野に入れる。次回会合は年内に開き、国土交通省鉄道局や鉄道・運輸機構から他ルートの状況について意見を聞く。 ●「米原軸に」の推測も 岡田氏の研究会について、石川県の地元関係者は「議論は米原を軸に進んでいくのだろう」と推測した。