ドラマ「高杉さん家のおべんとう」小山慶一郎インタビュー「家族の愛を伝えたい」
――ハルとの共通点はありますか? 「僕も大学で地理学を学んでいたのですが、当時は韓国の文化をメインに勉強していて。その土地に根付いている食文化や、習慣、環境、気候など、いろんなリポートを書いていました。研究者もそうですよね。集めたデータを分析して、どう表現するのかと考えたら『僕、大学の時に結果的に地理学をしていたんだな』と思い出して。それに、キャスターをしていた時は、ずっとフィールドワークだったんです。現地に行って一般の方にお話を聞く。その状況を理解して、原稿を自分で書いてリポートしていました。そういう意味では、研究者に近いことをしていたのかなと思っています。ハルが大事にしているフィールドワークは、僕も共感できます。あとは、何でも数値化してしまうところかな。ドラマは撮影期間も短いし、そこで全10話を撮りきらないといけない。順撮り(※ストーリーに沿って順番に撮影していくこと)もできないので、例えば1話と7話を同じタイミングで撮影することになった時、『7話って久留里とどういう距離感だっけ?』というのを、そこにいる全員が把握しておかないと、物語の山は作れないと思うんです。ハルは数値化するのが得意ですが、図らずも僕も監督に『数値化したら、久留里とどのくらいの距離感ですかね?』と聞いていました(笑)。『10が一番近いならば、今はいくつですか?』ということを、全スタッフと共有したいと思っています」 ――人との距離感は、どのように取られていますか? 「結構、年下から相談されることが多いんですよ。話を聞いてあげることは得意な方なので、最初は距離を縮めようと、僕も質問をいっぱい投げます。すると、まだ人生も固まっていないし、僕らからすると小さい悩みだなと感じることがあって。というのも、僕も高校の時、受験に失敗していて、その時は“人生終わった”と思ったんです。でも、大人になって『高校受験に落ちた』と人に言っても、『で?』って感じなんですよ。なので、僕も話を聞いた上で『たいしたことないよ』とか、実体験を踏まえて何か言ってあげられることはあるのなかと。それに、以前キャスターをしていた経験から、知識がゼロの状態でも質問ができるすべを身に付けたんです(笑)。なので、どんな状態でも質問が湧いてきて。人との距離の取り方は割とうまい方だと思いますが、宏々路ちゃんとは(役柄上)最初のうちはあまり距離を縮めなくてもいいかなと考えています」