“お芝居”と嘲笑されるアクトレスガールズが痛みの伝わる“プロレス”で虚実皮膜の世界に一石を投じる
この試合は、ノーDQ・場外カウント無し・凶器使用がOKのAWG Extremeルールで実施。 チェーンやイスといった大量の凶器が乱れ飛び、南側客席階段上からのダイブ、リング上に立てた巨大ラダーから場外のテーブルに向けてのダイブなど新体制アクトレス始まって以来の激しいハードコアマッチが展開。アクトレスガールズの“強さの象徴”を決める試合にふさわしく、仮に“女子プロレスラーの試合”として見たとしてもハイレベルな闘いが繰り広げられる。 終盤になると互いに自身のダメージを一切厭わずにラダーやイスへ突っ込んでいく“骨を断たせて肉を切る”と言える捨て身の攻撃を見せるように。壮絶な削り合いの末に茉莉が全力で蹴り抜くバズソーキックからブラジリアンキックを決め、イスの上への奈落落とし(※ハイジャック・ボム)で3カウントを奪った。 試合後、闘いを通してMARUとさらに絆を深めた茉莉は「キング・オブ・リングエンターテイメントっていうベルトの名にふさわしい試合がこのアクトレスのリングで出来た」と感想を語り、引き続きストロング暴力スタイルを以てアクトレスで暴れまわっていく覚悟を語った。 プロレスファンの一部は「アクトレスは試合の勝敗・展開まであらかじめ全部決まっているからお芝居だ」と悪しざまに言う。その内容自体はアクトレス側が公表している事実だ。 ここで言う“お芝居”の意味は、プロレスをよく知らない人間が使う“プロレス”に近い。予定調和・八百長・ニセモノ・まがい物・茶番といったものを嘲笑する際に使われる言葉だ。 アクトレスがリング上で表現するものを何と呼び、どう解釈するかは個々人の解釈による。しかし、人に何かを伝えるために苦悩した時間、磨き上げてきた技術、積み重ねてきた努力を以て表現されるものは、どういう名前で呼ばれるものであれ“本物”だ。 虚実皮膜のド真ん中を駆け抜け、紛れもない“本物”を魅せているアクトレスリングの今後の闘いにも期待していきたい。