「頭の回転が速いのに何も考えてない」という残酷な悲劇…絶対に知っておきたい「思考を深める極意」
先行きが見えない「答えのない時代」を生きる私たちにとって、「自分の頭で考える力」は必須です。でも、何をどのように考えれば良いのか、どのように勉強すれば良いのか、具体的な方法がわからない人も多いでしょう。 【写真】「頭の回転が速いのに何も考えてない」という驚くべき悲劇…思考を深める極意 気鋭の哲学者・山野弘樹氏が、自分の頭で考えて学びを深めるための方法=「独学の思考法」をわかりやすく解説します。 ※本記事は山野弘樹『独学の思考法』(講談社現代新書)から抜粋・編集したものです。
抽象的な概念は擬人化して捉える
世の中には頭の回転が速い人がいます。そういう人たちは、抽象的な話題をスラスラと論じることができます。 こういう人を見ると、人は思わず反射的に「すごい」「カッコイイ」と感じてしまうのですが、「その人はちゃんと考えられているのか?」という点を見定めるためには、まだこの時点では情報が足りません。 なぜなら、実質的には何も考えられていないのに、抽象的な言葉だけを繋げて「考えた気になっている人」が世の中には大勢いるからです。 抽象的なことばかりを並べてくる人には、「例えばどういうことですか?」や「○○ってどういう意味ですか?」とシンプルに質問してみることをお勧めします。そこでその人の思考の深度をチェックすることができます。 例えば、ここで「例えば~」や「○○という言葉は△△を表していて~」などとすぐに言い換えてくれる人は、物事をちゃんと具体的に考えられている人です。 反対に、こうした質問をしたときにすぐに答えられない人は、「いろいろ喋ってはいるけど、実はまともに考えられていなかった」というタイプの人です。こういう人は、小難しい知識や専門用語に頼るだけで、自分でその言葉の意味をちゃんと考えてこなかった(すなわち思考する訓練を積んでこなかった)のです。 では逆に、こうした質問を受けたときにスッと説明ができる人たちは、どういう頭の使い方をしているのでしょうか?抽象的な概念に搦めとられずに、しっかりと言葉の意味を押さえつつ思考する技術とはいかなるものなのでしょうか? それは「擬人化」の技法です。 擬人化とは書きましたが、無理に「この概念はきっと激しい性格で、見た目はこういう格好で……」と設定に凝る必要は全くありません。そうではなく、「概念の相関図」を頭の中でまとめることさえできれば大丈夫です。