地方の高校で相次ぐ「定員割れ」 都市部に一極集中…存続に向けて試行錯誤
大分県の県立高校では2008年に通学区域制度を撤廃し、全県一区となりました。導入から16年――大分市内の学校を希望する生徒が増え、地方では定員に達しないケースが目立っています。こうした中、特色のある学校づくりが進められているほか、行政も支援に乗り出すなど、学び舎を存続させる取り組みが加速しています。 【写真を見る】地方の高校で相次ぐ「定員割れ」 都市部に一極集中…存続に向けて試行錯誤 豊後高田市唯一の県立高校、高田高校では、市の子育て支援策として去年10月から授業料が無料となりました。国の就学支援金制度で所得制限により対象外となっている世帯に対し、市が独自で月額の授業料に相当する9900円を支給するもので、これまでにのべ167件の利用がありました。 豊後高田市学校教育課 岡田幸恵さん: 「子育てをする上で、教育環境の向上が最も重要だと感じています。市としても学校の存続に向けて施策を積極的に実施していきたい」 高田高校では教員免許を持つ市の地域おこし協力隊員、皆川直輝さんが学校の広報紙を作ったり、地域の人材を外部講師として学校に招く企画を立てたりして地域と高校をつなぐ役割を担っています。 皆川直輝さん: 「生徒たちが本当におもしろいと思える勉強に出会えるような取り組みを進めています。全国のどこにいても誰もが変わらず成長できる環境を整えることが一番の目標です」 県立玖珠美山高校では、全校生徒のおよそ9割が玖珠町と九重町から通っています。学校では地元の中学校に出向き、積極的に学校の魅力を伝えて、今年の普通科1年生は定員に達しました。 玖珠美山高校 塩月光久校長: 「高校の取り組みを広く知ってもらいたいので、中学校が玖珠郡内に2つしかないので、郡外の中学にも説明会に行っています」 玖珠美山高校では英語と数学は習熟度別にクラスを設け、少人数によるきめ細かな指導をしています。先生たちも高い目標を持って進路選択に臨むよう力を入れていて、今年3月末には九州大学の合格者を出しました。 (生徒)「ものを作るのが昔から好きなので、国公立の工学部に行きたいと思っています」「医療ソーシャルワーカーを目指しているので、少人数での授業を受けることができ、わからない時はその場で先生にわかるまでじっくり教えてもらっています」