タイのGMM&日本のLDH、業務提携の“希望”「これは、世界で売れる」両国のエンタメが融合する未来
LDHが持つパワーを実感
先述した「G&LDH」の狙い「合同練習等を通じたパフォーマンス力の向上」「タイ・日本両市場でのマーケティングリソースの相互提供」がそのとおりに実現すれば、LDHは GMM MUSICが持つタイ最大級のマーケティング・リソースやノウハウを活用して、タイ市場に乗り込むことができる。規模感こそ注視したいところではあるが、圧倒的な実力に裏打ちされたポテンシャルを持つLDHのアーティストがタイ市場に本格的に売り込まれたときのタイ国民の反応は、想定以上のものだろう。 T-POPライターとしてT-POPの人気が高まることを第一義的に考えていた僕だったが、むしろLDHの実力が「脅威」にまで感じられるほど、彼らのパフォーマンスにはパワーと魅力があった。 一方、GMM MUSICのアーティストについて考えてみるとどうだろうか。もし、T-POPにおいても際立ったプロポーションと高いスキルを持つ彼女ら/彼らが、LDHの表現力を身につけたらどうなるか。そして、LDHのマーケティングリソースを活用して日本市場に進出してきたらどうなるか。人々が予想だにしない、想像を越えたムーブメントを巻き起こす未来が、頭の中に思い浮かんだ。 HIROも言及していたように、GMMにはすでに実績がある。タイのアーティストが日本で爆発的にヒットする世界線が、現実味を帯びてきたのである。
T-POPとJ-POPの“最高の未来”
GMMおよびLDHの両幹部は「双方の長所を融合したらおもしろいのではないか」と語っていたが、「おもしろい」どころではない。未だかつて見たことのない魅力をもった“エンタメ・モンスター”が誕生する。しかもそれがタイと日本の2拠点で成長していくのだから、非常に驚異的である。 そして、タイと日本で両国のアーティストが人気を博したら、いよいよアジア全体を巻き込んだ新しいムーブメントの幕開けとなるだろう。その先陣を切るのはタイのアーティストであり、日本のアーティストなのだ。 率直にいうと、市場規模の成長という面において、世界から取り残されている日本の音楽市場に不安を感じていたことも事実だ。しかし、LDHアーティストがタイでみせたパフォーマンスの素晴らしさは、その不安をあっさりと払拭させた。G&LDHのプレスカンファレンスは自分にとって、T-POPにもJ-POPにも希望を見出せた有意義で記念すべき機会となったと言える。読者の皆さんと、T-POPとJ-POPがタッグを組んだ先に待つ未来を見届けていきたい。
トムヤム亜久津