サンリオ流アクセス解析! BigQueryなしでも実現、GA4でPDCAの回し方
古典的なマーケティングフレームワークの「4P」は顧客に商品を売るための最も適切な資源の組み合わせを検討するフレームワークである。4つの「P」のひとつの「Promotion(販路)」もその要素の一つであり、デジタルマーケティングであってもそれを検討し続けることは重要である。そう考えると、参照元は単にコンバージョンを得るための入口というわけではなく、ユーザーの特徴をある程度反映していると考えられる。例えば、自然検索では、参照元はユーザーの特徴をある程度反映しており、自然検索は「何か目的があって探している」、登録メールは「興味を持って登録している」といったインサイトが見えてくる。
┌────────── 参照元によって異なるユーザーが、異なるニーズで来訪している」という視点で見ると、分析や仮説に幅が出てくる(永井氏) └──────────
最初の流入経路を把握するときに、GA4の「ユーザー獲得」レポートは役立つ。永井氏は「サイトに継続的に来てくれる人とは、どのようなニーズをもった人なのか、思いを巡らせることで、仮説やサイト改善の質が上がっていくのではないか」と語った。
■ [仮説2] 流入元ごとに課題が異なる?
流入元の分析を行うには、「トラフィック獲得」レポートを活用する。
流入元によって「セッション訪問数」と「セッションキーイベントレート=コンバージョン率」の2つを分析し、「数を獲得できている流入元」と「コンバージョン率が高い流入元」を特定する。それぞれに対して「数を獲得したい施策」と「コンバージョン率を高めたい施策」を立案し、流入元と会社のリソースなどに応じた最適な施策を検討する。
たとえば、自然検索からのコンバージョン率が高い場合は、SEO施策を強化すれば流入数が増え、コンバージョン数も増加する可能性が高い。メールやSNSからのコンバージョン率が高い場合は、メール会員の獲得施策を強化したり、フォロワーを増やすための広告キャンペーンを実施したりといった打ち手が考えられる(もちろん、そううまくいくことばかりではないが、少なくとも会社のリソースに応じてどの施策をどれくらい実施するかの検討はできる)。 たとえ、流入数が少なかったとしても、コンバージョンにつながるリアルなアポの獲得件数が多い場合は、その流入を増やす施策を取り入れたほうがよい。このように、サイトだけでなく、他のデータも組み合わせて、自社のリソースにあった施策を検討し、戦略を立てていくことが重要である。 ■ [仮説3] ランディングページに課題がある? ランディングページはユーザーが最初に見る重要なページだ。しかし、単独で分析するのではなく、参照元や広告との組み合わせで分析したほうが、改善のヒントが得られる。 たとえば、バナー広告とランディングページの組み合わせを比較した結果、広告のイメージを踏襲したランディングページのほうが効果的である。広告と一貫したデザインにより、ユーザーは安心感を得られ、さらに「無料サンプルプレゼント中」のアクションボタンが効果的で、コンバージョン率が0.3ポイント向上した。 永井氏は、ランディングページの改善には、購入検討中のユーザーを対象とした聞き込みやアンケートが有効だと述べる。サンリオでは、Adele Revella(2015)の提唱するバイヤーペルソナ5つの要素、「譲れない条件」「購入後の期待」「購入後の不安」「競合との比較基準」「有効な媒体」を採用。これに基づいて、あらかじめサイト内で補完すべき情報を洗い出し、ランディングページやサイトのコンテンツに反映させている。なぜアンケートで補完するかというと、ユーザーが求めていることがすべてGA4のデータとして集計できるわけではないからである。