【2024年レース回顧】有終の美を飾ったレモンポップにありがとう 思い出した初めての出会いの日
◆チャンピオンズC・G1(12月1日、中京・ダート1800メートル、16頭立て=良) 【データで見る】レモンポップの血統、戦績 レモンポップ(牡6歳、美浦・田中博康厩舎、父レモンドロップキッド)が引退レースを勝利で飾ったチャンピオンズCは感動した。6歳の冬を迎え、前哨戦の南部杯も連覇を決めたとはいえ、2着に2秒の大差で勝った昨年よりも、パフォーマンスは落ちていた。田中博調教師も「馬は頑張ってくれています。やれることはやりました」と底力に期待する内容のコメントだった。 ここまで国内では15戦12勝、2着3回とパーフェクト連対。でももしかしたら、ラストランで大きく負けるかもしれない。そんな不安がなかったわけではない。本紙予想として、他の馬を本命にしようかとも思ったが、脳内でどんなにシミュレーションを重ねても、勝つのはレモンポップ。ならばもう、自信を持って◎を打つのみだった。 そして直線、懸命に粘るレモンポップに迫る勢いの馬がいた。ウィルソンテソーロだ。「負けるな! 粘れ!」気がつくとそう声が出ていた。鼻差での勝利。検量室前で出迎えた田中博調教師は泣いていた。開業当初から知っている仲だが、あのように泣いた姿は初めて見た。こちらも胸が熱くなった。 「すごい馬。名馬ですよ。馬とスタッフがすごい」とレース後、トレーナーは感慨深そうに話した。確かに、担当した田端助手の献身的な仕事ぶりがなければ、G1級6勝の素晴らしい成績は残せなかっただろう。これからは種牡馬としてレモンポップと同じような、パワーとスピードで圧倒する子どもを多く出してくるはずだ。 そういえば、初めてレモンポップに会ったのは、新馬戦前の20年の秋のこと。「走ると思いますよ」と田端助手が言った記憶があるが、当時の私は「立派な馬体をした、栗毛のかわいい子だな」と思っていた。そんな君にはたくさん励まされました。活躍を心から誇りに思います。お疲れさまでした。(中央競馬担当・山下 優)
報知新聞社