年末年始荷役、24年度は実施せず。日本港湾の地位低下懸念
日本港運協会は13日、国内港湾の年末年始例外荷役(年末年始荷役)について、労使間での協議が整わなかったため2024年度は実施しないと発表した。年末年始荷役を巡っては、今年の港湾春闘で組合側が「労働環境整備のため年末年始不稼働」を主張し、港湾労使にとって大きな焦点だった。日港協側は船社の要請を受けて組合側と交渉してきたが、合意できなかった。年末年始荷役はこれまで日本港湾の「364日フルオープン」の象徴として、01年から途切れることなく実施されてきた。関係者からは、年末年始荷役ができないことで日本港湾に対する船社からの信頼度が低下し、寄港減につながりかねないと懸念する声が強い。
年末年始荷役は例年、船社からの要請を受け、日港協が全国港湾労働組合連合会(全国港湾)・全日本港湾運輸労働組合同盟(港運同盟)と交渉し、実施を決めてきた。今年も9月から労使が労使政策委員会で協議してきた。
しかし、組合側は「ユーザーに選ばれる港湾よりも、仕事を求める労働者に選んでもらえる港湾」を主張し、年末年始の不実施を強く要求。議論は平行線をたどった。
労使双方の主張に隔たりが大きく、11月8日の労使政策委員会で、24年度の年末年始例外荷役は実施しない▽来年度以降の実施については継続協議とする▽ライフライン関連など緊急貨物に関わる作業については地区労使で協議した上で実施することができる―ことなどを確認。最終的に13日に24年度の不実施が決まった。
港湾現場の実作業としては、12月30日の夜荷役(31日午前4時まで)が年内最終となり、仕事始めは25年1月5日から。年末年始は基本的にゲートクローズとなる見通しだ。
足元の港湾現場では現在、紅海情勢などの影響で本船遅延による混雑が目立っており、年末年始が完休になることで貨物の滞留や混雑悪化が心配されている。それに加え、日本港湾の不稼働日が増えることで船社の寄港が減り、「ジャパンパッシング」が加速するのではとの懸念の声は大きい。