年末年始荷役、24年度は実施せず。日本港湾の地位低下懸念
船社側は年末年始荷役の不実施について落胆の声があるほか、「出荷スケジュールもあるので早く決めてほしかった」との意見もある。来年2月からのアライアンス再編に伴う新サービス体制への移行で本船の入れ替え作業もあり、ギリギリのタイミングだったようだ。
港湾現場では、年末年始の出勤者には割増賃金が支払われるため作業員は率先して手を挙げる傾向があり、「年末年始荷役の不実施は結果的に、働きたいという現場作業員の機会を奪うものではないか」と組合の対応に疑問を呈する声もある。
年末年始荷役がスタートしたのは01年から。当時の日本港湾は、米国からの規制緩和要求やそれに伴う米FMC(連邦海事委員会)の邦船制裁、そしてアジア港湾の台頭による競争激化などにさらされていた。このため港運労使は交渉の末、日曜荷役や年末年始荷役を行うことで合意。労使合意による日本港湾の安定化と24時間364日フルオープンが実現し、特に年末年始荷役はその象徴的な存在としてこれまで続いてきた。今回の不実施で日本港湾が掲げてきた364日フルオープンが大きな転換点を迎えるだけでなく、海外港湾との格差がさらに広がる可能性もある。
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年末年始例外荷役 年末年始特別有給休暇(12月31日と1月2―4日)の期間中、元日を除く4日間、港湾荷役作業を行うこと。船社の要請により港運労使が合意して例外措置として行われている。出勤した作業員には割増金・精励金が支払われる。初年度となる01年度(01年12月31日、02年1月2―4日)は545隻(コンテナ船165隻、RORO船やPCC、在来船など380隻)の本船荷役を実施。直近である23年度(23年12月31日、24年1月2―4日)は762隻に上った。
日本海事新聞社