北海道のエゾシカ捕獲数過去最多、積極活用呼び掛け
道はこのほど、昨年度の全道のエゾシカ捕獲数(確定値)が過去最多の15万6863頭(前年度比8・2%増)だったと発表した。南部(渡島、桧山、後志管内)も同18・9%増の7742頭と過去最多となった。エゾシカの増加により交通事故や農林業被害といったトラブル(あつれき)も増加する中、道は今年度のエゾシカ捕獲推進プランでメスの捕獲割合を高め、個体数の効果的な削減を目指している。
振興局別では渡島が3387頭で全道14振興局中12位、桧山は771頭で同14位と全道的にみれば少ないが、他地域と同様に増加傾向にある。 全道のエゾシカの推定生息数は、2018年度の約65万頭から22年度の72万頭に増加。10年から14年までの「緊急対策期間」に捕獲に重点的に取り組んだことにより11年度の77万頭をピークに減少していたが、再度増加に転じている。 また、エゾシカによる農林業被害額も18年度の約38億5800万円から、22年度には48億6600万円に拡大。22年度にはエゾシカの関連する交通事故も4480件、列車支障発生件数は4278件といずれも過去最多となっている。 道は、人とエゾシカのあつれきが深刻化しているとして今年1月から26年までの3年間を「エゾシカ緊急対策期間」に設定。特に、毎年子ジカを出産する雌ジカの捕獲が重要として、道は今年度のエゾシカ捕獲推進プランにメスジカを捕獲しやすい2~3月の許可捕獲の促進を盛り込み、個体数の削減を目指している。道野生動物対策課は「食肉利用、ペットフードや皮革製品、角など捕獲個体の有効活用を」と呼び掛ける。
函館新聞デジタル