神戸の武藤、光った献身 連覇導き初の栄誉―Jリーグ・アウォーズ
ホームでJ1連覇の歓喜を味わった余韻が残る中、天皇杯との2冠の立役者となった神戸の武藤に最高の栄誉が加わった。 初のMVP。「僕は一見すると華やかな経歴に見えるが、紆余(うよ)曲折を経て今がある」。しばし感傷的になりながら、言葉を紡いだ。 チームの61得点の3分の1に絡む13ゴール、7アシスト。シーズン中にはもっと点を取りたいというFWとしての本音を口にしたが、「僕がサイドにいることで得点とアシスト、守備もできる。それがベストだと監督も言ってくれている」。最終節の一つ前、柏戦での起死回生の同点弾のような勝負強さはもちろん、体を張るプレーでも貢献し続けた。 離れて暮らす家族を思い、受賞スピーチでは感謝の気持ちを伝えた。単身で神戸に移り、子どもの学校行事に参加することもかなわない。「そうした犠牲があって、連覇を遂げることができた。このMVPは家族にささげたい」 32歳。欧州での挫折やけががあったからこそ、自身が強くなれたと実感を込める。「さらに成長できるように。地に足を着けて日々努力し、これからもまい進していきたい」。頼もしく誓った。