パレスホテル東京の〈エステール〉は、自然に寄り添うフランス料理で注目の的!
〈パレスホテル東京〉のフランス料理〈エステール(ESTERRE)〉といえば、フレンチの巨匠であるアラン・デュカスさんが設立した〈デュカス・パリ〉をパートナーに迎えた美食レストラン。ミシュランガイドでも1つ星を堅持していて、食通が足繁く通うスポットとして評価を得ているのだけれど、今年になってさらなる注目を浴びている。
その理由は、デュカスさんの信任が厚い小島 景さんが、2023年1月にシェフに就任したから。小島さんは1964年の東京生まれの鎌倉育ち。デュカスさんと一緒に20年以上も働き、2001年から勤務したモナコのミシュランガイド3つ星レストラン〈ル・ルイ・キャーンズ アラン・デュカス〉で副料理長を3年間務めた。帰国後の2010年に〈ベージュ アラン・デュカス 東京〉総料理長に就任してから、同店は2つ星に輝き続けている。 ランチでもディナーでも提供されているのはコースのみ。メニューが一新されたので、いくつか紹介しよう。
“キンキの炭火焼き 無花果とポワロー”は、キンキの皮目にしっかりと焼き色をつけ、炭火焼きの薫香が出色。身は肉厚で、その繊細な佳味を存分に味わえる。無花果(いちじく)とポワローが甘く、よいコントラスト。
小島さんのシグネチャーといえる魚介料理が、“蝦夷鮑 アーティーチョークとキャベツのグリエ”。蝦夷鮑を蒸して、匠の技でその滋味を閉じ込めた。しなやかな弾力で、ナイフですっと切れるほどにやわらかい。アーティーチョークとチリメンキャベツのガルニチュールは、甘味とほろ苦さがよいバランスだ。
“熊本産和牛 野菜のフォンダン”は白眉のメインディッシュ。熊本県のあか牛を絶妙な火入れで、ジューシーで妙妙たる味わいに。テールとスペアリブのジュ(出汁でつくった香り高いソース)は、赤身肉の俊味とぴったり。付け合わせは、何種類もの鎌倉野菜のロースト。鎌倉野菜に精通した小島さんらしく、どの野菜も旬味が引き出されている。まわりには、その料理で使用した野菜の葉で作られたパウダーがちりばめられており、さりげなくサステナブル。