離島の公立小、配布したノートPCで「休み時間にゲームをしてもいい」のはなぜ? スマホを手に入れる前によき使い手に、「今が学べるチャンス」
八丈島(東京都八丈町)の町立三根小学校では、休み時間に、子どもが自分の学習用ノートパソコンでゲームをしてもいい。友達とのグループチャットだってOKだ。日常的に使うことで端末に親しんで操作に慣れ、結果的に学びへの活用にもつながっているという。 学力やうつ傾向との関係は? 子どものインターネット利用は1日4時間半…専門家に聞くスマホとの適切な“距離感”
新型コロナウイルス禍の中、ノートパソコンやタブレットといった学習用デジタル端末が全国の小中学生一人一人に届けられた。ただ、子ども同士のトラブルなどを心配し、授業以外での利用に厳しい制限を設けている学校は少なくない。 三根小学校でも、いろいろと問題が起きているのでは…。そんな想像をしながら取材に行くと、先生たちは子どもたちが直面する「ジレンマ」をしっかり受け止めながら、「今が学べるチャンス」とデジタル世界でお互いを尊重する力を育てようとしていた。(共同通信=小田智博) ※記者が音声でも解説しています。「共同通信Podcast」でお聴きください。 ▽「気持ちのいい使い方」を考える授業 2023年10月、羽田空港から飛行機で南に飛ぶこと50分で八丈島に到着した。三根小学校の全校児童は約170人。6年1組の教室では、パソコンの「気持ちのいい使い方」を考えるというテーマの授業が始まっていた。
「自分やみんなの使い方で、問題だと思うことは」。こんな質問に対する子どもたちの回答が、教室の前の電子黒板に映し出された。ゲーム関連の問題が多いようだ。中には「休み時間が終わってもゲームに熱中している」といった回答も。 担任の古矢岳史先生(42)=24年4月に島外の公立小に異動=が子どもたちに「いつゲームしてる?」と聞いた。「社会(の時間)」と男の子。「リアルだね~」。古矢先生は苦笑しながら突っ込みを入れ、こう問いかける。「どうして問題だと感じたんだろう?」 次々と意見が挙がる。「授業が分からなくなる」「周りに迷惑」。そんな中、ある児童が「授業中までゲームを続けている理由」をぼそっと口にした。「授業をやりたくないから」。古矢先生はとがめることなく、穏やかな口調でこう返す。「その意見でもいいよ。だったら、先生が授業を工夫しないといけないってことだからね」 その後は問題を解決する方法の話し合いに。子どもたちは班になり、出た意見をパソコンに入力していく。「先生が端末を取り上げる」といった提案が目立つ。古矢先生は「罰を与える的なことが多いね。でも、そうはしたくないんだよね」とつぶやく。