離島の公立小、配布したノートPCで「休み時間にゲームをしてもいい」のはなぜ? スマホを手に入れる前によき使い手に、「今が学べるチャンス」
「授業が始まる1分前にアラームを鳴らす」といった案も複数の班から上がった。「じゃあ、それでやってみる?」と古矢先生。「みんなで考えてひねり出そうとすることが大切だよ」と締めくくった。 授業の後、古矢先生に手応えを聞くと、こんな風に語った。「アラームを鳴らすアイデアは、面倒だし、きっと長続きしないだろう。でも、とりあえずやってみて、だめだったら次の方法を考える。この繰り返しでいいんじゃないか。大人が決めるんじゃなくて、みんなでよりよい使い方を作り出せると、体感させるのが大事かな」 ▽「学校でゲームなんて」…先生の心を動かした詩 学習用ノートパソコンでは、プログラミングソフト上などで公開されているゲームができる。もともと、自宅に持ち帰った際のプレーに特に制限はなかったが、学校の休み時間に規制しなくなったのは23年から。パソコンの利活用について担当する古矢先生自身、端末が導入された当初は「学校でゲームなんて」と否定的な思いを持っていた。
そんなある日、古矢先生は小学2年生の男の子が書いた、こんな詩を読んだ。 ゲーム ゲームは、楽しい 今すきなのはマイクラ てきをたおしたり 家を作ったり 自ゆうなせかい ゲームてっすごいな (原文ママ) 古矢先生は心を動かされた。「僕がスポーツを好きなのと同じくらい、この子はゲームが好きなんだ」。そして、考えをあらためた。「休み時間くらい、それを阻害する理由はないな」 同じような意見を持つ先生も多く、議論の末に制限をやめることにした。「解禁したというよりも、休み時間だから、何をするかは子どもが選んでいいんじゃないか、ということです」。学校としては外遊びを奨励してきたが、大部分の児童は放課後に何らかのスポーツをしていて、運動量が確保できているといった事情も背中を押した。 ▽SNSとの向き合い方に「正論」を書かせる意味があるのか 無用なトラブルを避けるため、端末の利用を厳しく制限しようという学校は今も多い。制限することに何か問題があるのだろうか。