子供たちの「やりたい」に寄り添う遊び場に 「砧・多摩川あそび村」上原幸子理事長 TOKYOまち・ひと物語
■手作りで育てる
あそび村は現在、官民の協働事業として、月・水・金・土曜と第2・4日曜に開園。開園時間中はプレーワーカーと呼ばれるスタッフが常駐し、子供たちの遊びに寄り添う。ボール遊びなど禁止事項を設ける公園も多くなる中、上原さんは「子供のやりたいことをなるべく規制せず、自分の責任で自由に遊べる場を作りたかった」と振り返る。
原っぱにある木の上部にデッキを設けて登れるようにしたツリーハウス、泥遊びに活躍する手押しの井戸ポンプなどは地域の子供と大人たちが少しずつ夢を形にしてきたものだという。
川や自然遊びに詳しい専門家らも応援団に加わり、自然素材で遊び道具を作ったり、草木染をしたり。多摩川や河川敷に生息する多様な生物の存在を身近に感じながら、自然と遊ぶ楽しさも伝えている。
遊具が常設されている公園とは違い、あそび村では〝遊び力〟が試される。当初は戸惑う様子を見せる親子もいるが、そのうち子供たちは思い思いに遊びだし、はつらつとした表情を見せるようになる。
「ここは自分たちで作ってきた遊び場。子供たちの思いを大事にしながら、これからも地域の人たちとともに手をかけ、育てていきたい」。都会に足らないものがここにはある。(三宅陽子)