2025年「AI 5つの進化予測」、激変する“次世代”のAIエージェントやRPA、LLMとは?
展望2025:AIと人間の共創時代の幕開け
生成AIがもたらす未来は、仕事や価値創造の在り方を再定義し、AIと「パートナーシップを組む」という概念を受け入れ時代の幕開けでもあります。 これまでの「AIは人間のツールである」という認識から、AIと人間が互いに補完し合いながら共創する関係へと相転移する日は、来年ではないかもしれませんが、いずれやってくるでしょう。 この共創の時代になると、AIがタスクを定義し、人間とAIエージェントがそれを遂行していく構図が一般化するかもしれません。AIは膨大なデータを解析し、精密なスケジューリングや意思決定を行う一方で、人間は創造性や感情、倫理的な視点を持ち込む役割を担います。 この相互作用によって、新しい価値やイノベーションが生み出される可能性が広がるでしょう。 たとえば、企業活動においてAIがプロジェクトの進行管理を主導し、各タスクを必要に応じてAIエージェントや人間に振り分ける仕組みが想定されます。 その際、人間は「タスクの実行者」としてだけでなく、「タスクの方向性を決定づける批評者」や「創造性を発揮するイノベーター」としての役割を果たすことになります。 この関係性の中で、AIと人間の協働は単なる効率化を超え、仕事そのものの質を高めることができるようになると考えられます。 しかし、この新しい働き方には、課題もあります。たとえば、人間の仕事の成果をどのように評価し、証明するか。こうした課題に対して、ブロックチェーンが不可欠な役割を果たす可能性があります。 ブロックチェーンは、AIと人間の共同作業の記録を改ざん不可能な形で保存し、仕事の透明性と信頼性を担保します。また、スマートコントラクト(契約の自動化)を通じて、タスクの評価や報酬の分配を自動化する仕組みを実装することも技術的には可能です。 さらに、こうした未来の働き方においては、責任の所在や倫理的な判断基準の確立が必要不可欠です。AIが主導するタスクの中で、判断ミスが生じた場合、それを誰が負うのか? 人間の価値がどのように定義され、評価されるのか? これらの問いに対する答えを探しながら、技術と社会の調和を図る必要があります。 AIとブロックチェーンの融合がもたらす新しい社会は、まだ完全に形を成してはおらず、確信できるようなこともありません。しかし、その可能性はすでに私たちの目の前に広がっています。 この未来に向けて、AIと人間の共創がどのように進化し、企業や社会をどのように変えていくのか。そこには、私たちがこれまで想像してきた働き方を超えた、まったく新しい次元の世界が待っているかもしれません。
執筆:みずほフィナンシャルグループ 執行役員 デジタル企画部 部長 藤井 達人