飛距離が伸びる「簡単シャドースウィング」を今週国内プロデビューした馬場咲希のコーチが解説【謎キャラコーチ『わきゅう』の気になる話♯84】
一昨年の全米女子アマを制し、23年12月のプロテストで合格した馬場咲希プロを、中学1年から指導しているのがプロコーチの坂詰和久(さかづめかずひさ)、通称『わきゅう』だ。坂詰コーチと20年以上の付き合いがあるベテラン編集者Oが、謎キャラコーチの気になる話を聞き出す。今回は「捻転差と下半身リード」がテーマだ。 馬場咲希のアイアンショット【連続写真】
O編 前回は、バックスウィングの体の動きはとても小さいという話を聞いたよね。 坂詰 ええ。まずは、アドレスした状態から、頭と下半身を動かさず、上半身だけを右に回旋させる。それで苦しくなったら、両ひざの位置を動かさずに、骨盤を右に回旋させる。バックスウィングの体の動きはそれだけでいいんです。とにかく、バックスウィングで大事なのは、下半身を1ミリもスウェイさせることなく、下半身と上半身に捻転差を作ることですからね。そのためには、体を動かしすぎないようにしたいんです。 O編 しかし、「ホントにこれでいいの?」って聞きたくなるくらい、動きが小さいよね。 坂詰 プロにも同じことを聞かれますよ。「これだけでいいの?」「これで飛ぶの?」「これで、どうやってスピードを出すの?」って。 O編 そんなとき、どう答えるの? 坂詰 下半身でスピードを出すんだよって。だって、どんなスポーツも同じじゃないですか。野球のピッチャーが球を投げるときも、ボクサーがパンチを繰り出すときも、スピードを出そうと思ったら、下半身を先行させて、上半身が後から付いてくるようにしますよね。それを理解してもらうようにしています。 O編 いわゆる下半身リードの動きだよね。それって、多くのアベレージゴルファーが苦手にしている動きだと思うんだけど。 坂詰 だからこそ、バックスウィングで上半身と下半身に捻転差を作ってほしいんですよ。だって、下半身を動かさずに上半身をねじったら、それだけで下半身が先行した状態になるじゃないですか。それができれば、仮に上半身と下半身を同時に動かしても、ダウンスウィングでは下半身が先行した状態になっているわけです。 O編 バックスウィングで下半身リードの形を作っちゃうってことか。 坂詰 そういうことです。よく、下半身リードの動きを説明するとき、トップから上半身を置き去りにして、下半身だけをダウンスウィング方向に動かすなんて言いますよね。でも、バックスウィングで捻転差が作れたら、そんなことを意識する必要もなくなるんですよ。 O編 あぁ、そう考えると、スウィングがシンプルになるかもね。 坂詰 でしょ。ところが、ほとんどの人が、バックスウィングで下半身を動かしすぎているために、捻転差が作れていないんです。捻転差がないと、下半身が先行しない。下半身が先行しないから、上半身が付いてこない。だから、自分で(上半身で) クラブを下ろしてしまう。結果、いくら下半身の動きを意識しても、下半身リードで打てないということになるわけです。 O編 バックスウィングで下半身を動かしすぎるっていうのは、スウェイしたり、腰が引けたり、伸び上がったりして、両ひざの位置をキープできないってことだよね? 坂詰 そうですね。 O編 そういう人は、どうしたらいいの?