昌平、大谷のミドル2発で鬼門の準決勝を初突破!埼玉県勢では2012年の武南以来の決勝、そして県勢51年ぶりの頂点へ
8月2日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)準決勝がJヴィレッジスタジアムで行われ、第2試合で昌平(埼玉)が2-1で帝京長岡(新潟)を下し決勝に駒を進めた。 【フォトギャラリー】帝京長岡vs昌平 プレミア勢、攻撃的なスタイル、チームカラーが緑。特徴が似ている2チームによるセミファイナル。初の決勝進出を目指し両チームが激突した。 序盤からペースを掴んだ昌平は5分、MF8大谷湊斗(3年)が持ち運ぶと「持った瞬間からゴールは意識していて、左にコースが見えたんで振り切った」とボックス手前から右足を一閃。この大谷のミドルシュートがネットに突き刺さった。準々決勝の桐光学園戦では序盤から相手にペースを掴まれ、苦しい戦いを強いられた昌平が、その反省を生かし立ち上がりから攻勢を仕掛け、見事に先制ゴールを奪った。 さらに、今大会は先制した後に2点目がなかなか決められないという課題も克服してみせる。14分、MF11長璃喜(2年)のシュートが相手にブロックされ跳ね返ったところに待っていたのはまたしても大谷。浮き球にダイレクトで右足を合わせると、シュートはゴールに一直線。大谷の華麗なボレーシュートがゴールネットを揺らした。 大谷の2ゴールで昌平が優位に立ったが、帝京長岡もただでは転ばない。クーリングブレイクを挟み徐々に押し返し始めると32分、右サイドから細かく繋いでDF2遠藤琉晟(3年)のシュート性のボールにゴール前でMF18水澤那月(2年)が左足を合わせる。するとこれがゴール右に決まり帝京長岡が1点差に詰め寄った。 昌平も35+2分にCKからDF3上原悠都(3年)が強烈なヘディングシュートを放つも、これはライン上でFW10柳田夢輝にクリアされる。2-1と昌平が1点リードでハーフタイムを迎えた。 後半に入ると両チームが次のゴールを目指し攻め合う展開に。しかし帝京長岡のGK1小林脩晃(3年)と昌平のGK1佐々木智太郎(3年)がファインセーブを見せゴールを死守。昌平は59分にMF10山口豪太(2年)を投入し、その山口がアクセントとなりチャンスを作ったが決め切れず。6分のアディショナルタイムに突入すると、追い付きたい帝京長岡の猛攻が続くも、そこを耐え抜いた昌平が逃げ切りに成功。2-1で勝利した。 勝利した昌平の玉田圭司監督は「めちゃくちゃしんどかったですね。先に2点取れましたけど、帝京長岡さんのプラン変更がすばらしかった。それに対して自分たちが受け身になってしまったので、そうなってしまうとこういう展開になってしまう」と、2点を先行してからの相手の反撃に苦しめられたと振り返った。 「観ている方は2-1の方が楽しいかもしれないけど、3時間ぐらい経ったように感じた」と2-1で耐えきったことよりも、チャンスで3点目を決め切れなかったことが課題だと話した。 それでも、いままで培ってきた足元の技術を生かしつつ「ボールをより動かして、その中で(相手が)来たら剥がす。融合っていう部分を玉田さんが監督になってからずっと練習でやってきた」(FW15鄭志錫)。元日本代表FWが監督に就任し、新たに吹き込んだ風が着実にチームを成長させている。 これまで3度跳ね返されてきた鬼門の準決勝を突破した昌平。いよいよ初優勝は目の前だ。 埼玉県勢としては2012年の武南以来の決勝。昌平は県勢51年ぶりの優勝に向け、3日にJヴィレッジスタジアムで12時から神村学園(鹿児島)と対戦する。 (文・写真=会田健司)