阪神 先頭6連打から一挙6点の大逆転劇 広島も巨人も連敗でセ大混戦 逆転Vへ首位猛追3・5差
「阪神9-4中日」(4日、甲子園球場) 逆転Vへ炎の6連打がさく裂した。阪神は2点を追う初回、先頭近本から猛攻を展開。佐藤輝明内野手(25)が勝ち越しの2点適時打、井上広大外野手(23)も聖地初アーチとなる2号2ランを放つなど一挙6点を奪って逆転勝ちした。ライバル2球団が連夜の共倒れとなったため、首位広島に3・5ゲーム差、2位巨人にも3ゲーム差に接近。残り20試合、連覇の光が再び見えてきた。 【写真】連勝に超ご機嫌!満面の笑みで握手する岡田監督 もしかして、もしかするかも…。ファンの期待がスタンドに充満した。三回と七回の攻撃終了後。バックスクリーンに他球場の途中経過が映し出されると、甲子園は得点シーンのような盛り上がりを見せた。 そのまま首位・広島と2位・巨人が2試合連続で敗戦。3位・阪神にとっては理想的な“独り勝ち”。首位とは3・5ゲーム差まで縮まった。ただ、快勝後の岡田監督はいたって冷静だった。 「いやいや、そんなん全然関係ない。誰もそんなこと言ってないし。ずっと一試合一試合勝っていくだけなんで。そんな計算はしてないけどね」 それでもファンは期待を膨らませずにはいられない。劣勢をはね返した猛攻が、奇跡の実現を予感させた。 試合開始直後の初回に村上が2点を失う。中日先発はこの試合まで対戦防御率1・99の小笠原。岡田監督は「何か嫌な感じやったけど」。いきなり重いムードが漂った。 それでも目標を見失っていない選手はたくましかった。初回無死から近本、中野の連打で無死一、二塁となると、スタンドも熱気を帯び始めた。 森下が結果で期待に応える。右中間を破る同点2点二塁打。14球で同点に追い付くと、スタンドはお祭り騒ぎだ。大山も中越え二塁打で続いて無死二、三塁となった。 熱気と興奮が渦巻く状況で、佐藤輝は神妙な表情で打席へ。内角直球にバットを折られながらも、中前へ決勝2点適時打。先制点へとつながった失策を取り返すと塁上で手をたたいて控えめにカモメポーズを見せ、ほっとした表情を見せた。 さらに井上がどよめきを再び歓声に変える。初球の146キロをすくい上げて左翼席へ甲子園初アーチだ。6連打での6得点。興奮疲れする様子もなく、黄色いスタンドは波打った。 岡田監督は「久しぶりによく打つなーと思ったけど」と笑いつつ、「これからはチャンスで誰が回ってくるか分からないけど、そこでタイムリー打って、点を積み重ねていくというか。ほんと(重要なことは)結果だけになってくるので」。負けられない戦いで見せた集中力を評価した。 残り20試合。厳しい状況には変わりはなく、1・5差の4位のDeNAは不気味だ。それでも劣勢をはね返した劇的勝利の価値は大きい。球団史上初の連覇も夢物語ではない。そう思わせてくれる快勝だった。 ◆甲子園勝率・633に 阪神はこの日の勝利で今季甲子園勝率・633(31勝18敗2分け)となり、今季甲子園中日戦9連勝。同一カードでの甲子園9連勝は03年・ヤクルト戦以来、21年ぶりとなった。 ◆主な阪神の初回連続安打 1936年4月30日の名古屋戦の初回に3四球を挟む10打数連続安打。08年5月5日・中日戦初回は1番・赤星から1四球を挟む6連打で7得点した例がある。また、他球団ではDeNAが今季5月1日・中日戦初回に1番・桑原から6連打などで9得点。 ◆1イニング6安打以上 阪神の今季1イニング6安打以上はこの日で3度目。過去2度は【1】6月9日・西武戦七回=6安打【2】7月21日・広島戦三回=7安打。6者連続安打は今季最長で7者連続安打だった2021年6月29日・ヤクルト戦二回以来。