女子5000m2位の山本有真&男子やり投3位のディーン元気がパリ五輪代表有力に 3大会ぶりのディーンは“12年分”の五輪へ【日本選手権3日目】
幸い、貧血は5月末には改善した。そしてもう1つ良かったのは、一緒に練習している田浦英理歌(24)や佐藤早也伽(30)が好調で、15分20~30秒台で走っていたこと。「その2人と練習をして、山本も同じくらいで走れる手応えを感じられたと思う」(野口監督)クイーンズ駅伝優勝2回のチーム力も、山本の代表入りを後押しした。 ■“運も実力”を体現している山本 大きなレースの優勝がなかったり、記録的にも23年以降は15分30秒を切れていなかったりしても、山本は国際大会の代表に入り続けている。「“運”の良い選手」という声も出ているし、野口監督もそういった部分があることは認めている。昨年6月の日本選手権5000mは8位でも、上位選手が別の種目に出場したり、辞退したりして山本が7月のアジア選手権代表入りすることができた。 しかし、その時点での世界ランキングのポイントを、2月のアジア室内(3000m3位)などで積み上げていたから、選考基準に則って代表入りできた。そして国際大会では有力選手や日本選手の欠場者が出たりしても、山本はしっかりと走ってポイントを獲得した。アジア室内選手権、日本選手権(国内選考規定)、アジア選手権、世界陸上ブダペスト、アジア大会と国際大会に連続して出場することができたのである。 山本はアジアの大会でも、スケジュール的にハードになっても、国際大会に積極的に出場してきた。他種目の代表選手たちと交流することに喜びを感じ、「またこの人たちと一緒に世界と戦いたい」という気持ちがモチベーションになっている。海外の試合で現地の人と積極的に交流できる性格も、山本が国際試合にストレスを感じない理由の1つである。 しかし昨年の世界陸上ブダペストは予選1組で20位、16分05秒57に終わった。「毎回ポイント練習の前にブダペストの動画を見返して、悔しさを思い出してから走ってきました。実際に(世界大会の)舞台で走れる日がまた来ると思うと、もっとやる気が出てきます」
山本は運の良い選手ではなく、目の前にある運をつかみ取る強さをもつ選手である。 (TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター) *写真は左からディーン元気選手、山本有真選手
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