女子5000m2位の山本有真&男子やり投3位のディーン元気がパリ五輪代表有力に 3大会ぶりのディーンは“12年分”の五輪へ【日本選手権3日目】
前述のように日本選手権でも、動きがどう崩れていたのか、動画などを見直さなくとも理解できた。12年間分の成長が、パリ五輪に向けても大きなプラス要素になる。「12年ぶりの出場をこういう形で決めたくはありませんでしたが、もう一度気を引き締め直せっていうことだと思います。ベストの投げができれば予選は通ることができる。決勝では自分の全部をぶつける気持ちの良い投げをしたい。後悔のないパフォーマンスができれば記録、順位もついてくると思うので、思い切りぶつけることが一番の目標です」 ベテランらしい部分を生かしつつ、ロンドン五輪当時のような思い切りの良さも発揮する。12年ぶりではなく、“12年分”の力をパリの空に放つ。 ■ケガに加えて貧血にも苦しめられた山本 女子5000mは田中希実(24、New Balance)が序盤でリードを奪うと独走で逃げ切った。山本は、樺沢和佳奈(25、三井住友海上)が引っ張る後続集団の後方で待機。残り600m付近から加世田梨花(25、ダイハツ)が前に出た動きに山本だけが対応し、残り1周でスパートして2位争いを制した。記録は15分34秒64とそれほどでもないが、選考基準的には3位以内に入ることが重要だった。 山本は「即内定じゃないのですが、ランキング(Road to Paris 2024)的には大丈夫かなと思うので、今はすごくホッとしています」と涙ぐんだ。昨年のアジア選手権優勝者で世界陸上とアジア大会も代表だった選手。五輪でも代表入りして不思議はないが、今季は「右のかかとのケガ(後脛骨筋炎)だったり、貧血だったり」で不調が続いた。 かかとの痛みには何度も見舞われていて、山本自身もチームスタッフも想定していた。走れない期間にやっておくべきことや、試合に向けての調子の上げ方などは、昨年国際大会に連続して出場したことでノウハウが蓄積されていた。 しかし「貧血までは考えていなかった」と、積水化学の野口英盛監督。「5月初めのゴールデンゲームズinのべおか(5000m16分04秒59)のあとに判明して、3週間くらい走れませんでした。体の内面を改善しないといけないので、うーんという感じでしたね。本人もそこが一番苦しかったと思う」