『生まれ変わってもよろしく』

　2023年に配信された『生まれ変わってもよろしく』は、1000年にわたって輪廻転生を繰り返す女性・ジウム（シン・ヘソン）が、18回目の人生で出会ったソハ（アン・ボヒョン）と19回目の人生で再び出会う物語だ。 　19回も転生を繰り返しているだけでなく、過去の記憶をすべて覚えているジウム。まさにありえない設定といえるが、1000年にも及ぶ経験を活かしてたくましく生きる姿をシン・ヘソンは抜群の演技力で見せる。 　18回目の人生で出会ったソハと惹かれ合うが、突然の交通事故でジウムは命を奪われてしまう。思いがけない形でソハと別れることになり、諦めきれない気持ちが強かったのか、19回目の人生でジウムは何としてでもソハと再会しようとあらゆる手段を尽くす。その行動力が現実離れしていて面白い。 　ソハと現世で再会を果たしたあと、ジウムはいきなり「私と付き合いましょう」とソハに近づいていく。そんな奇妙なやり取りに、あまりにも現実離れしたキャラクターに驚いた人も多かっただろう。ジウムを「ただの変な人じゃないか」と思ってしまう人もいるだろうが、そこはご愛嬌と受け入れたい。 　ソハを演じるアン・ボヒョンは、慕っていたヌナ（男性が親しい年上の女性に対して呼びかける言葉）を突然交通事故で亡くしてしまい、心に傷を負った青年を繊細に演じている。物語の前半は暗い表情をすることが多く、憂いのあるアン・ボヒョンもなかなか魅力的だ。 　なぜジウムは転生を繰り返すことになったのか、そこには1回目の人生で起きた悲しい出来事が原因となっていた。現世で関わっている人たちが前世でも深く関わっており、ジウムとソハも例外ではなかったのだ。ファンタジーな設定でありながらも「人生ってそんなものかもしれない」と思ってしまうところが、本作を夢中になって見てしまう理由でもある。 　自分の前世はなんだったのだろうと思いを馳せながら、そして現世で出会った人との縁を感じながら本作を楽しんでほしい。